心臓を工場にたとえる前置き説明
先輩看護師(以下、先輩):
新人さん、心臓を工場に例えるとわかりやすいんだよ。
社長が洞結節で、心臓全体のペースを管理しているんだ。
新人看護師(以下、新人):
社長が指示を出して、工場全体が動いているんですね。
先輩:
そうそう。倉庫が心房で、秘書がその心房細胞。房室結節は部長で、社長の指示を調整して出荷場(心室)に伝える役割をしているんだ。
出荷場の社員たち(心室細胞)は全身に血液を送り出す重要な働きをしているよ。
新人:
心臓の仕組みがすごくイメージしやすいです!
先輩:
でも、社員たち(心室細胞)が暴走して、社長の指示を無視することがある。それが「心室頻拍(VT)」なんだ。これが今日のポイントだよ。
VTの解説
新人:
先輩、VTって具体的にどんな状態なんですか?
先輩:
VT(心室頻拍)は、心室の細胞たち(社員)が社長の指示を無視して、自分勝手に早く動いてしまう状態だよ。その結果、心室が異常なペースで収縮するんだ。心電図で見るとこんな波形になるんだよ。
(ここにVT波形の画像を挿入)
新人:
この波形、すごく速いですね!
先輩:
そうだね。QRS波が広くて連続しているのが特徴なんだ。これがVTの典型的な波形だよ。
新人:
VTが出たら、どうすればいいんですか?
先輩:
まず、落ち着いて患者さんの状態を確認することが大事だよ。モニターでVTが出ていても、「偽VT」の場合もあるからね。
新人:
偽VTって何ですか?
先輩:
たとえば「歯磨きVT」っていうのがあるんだ。患者さんが歯磨きや体を動かしているときに、心電図の波形がVTみたいに乱れることがあるんだよ。こんな感じの波形が歯磨きVTだよ。
(ここに偽VT波形の画像を挿入)
新人:
本物と間違えそうですね!
先輩:
そうなんだ。でも、本物のVTだった場合は急変に直結するから、慎重に対応しなきゃいけない。本物のVTだったら、絶対にその場を離れないで、すぐに緊急コールを押して人を集めるんだよ。
新人:
本物か偽かを見分けて、急変時にはその場で対応するんですね!
先輩:
その通り!VTは時間との勝負だから、適切に動けるようにしておこうね。
③ VTと偽VTのまとめ表
項目 | 本物のVT(心室頻拍) | 偽VT(歯磨きVTなど) |
---|---|---|
波形の特徴 | QRS波が広く連続する | 動きによるアーチファクトで不規則な波形 |
患者の状態 | 意識消失、脈拍触知困難など | 患者は元気で意識もしっかりしている |
対応方法 | 患者確認 → 本物なら緊急コールで対応 | 患者確認 → 状態安定なら観察 |
先輩:
VTは新人さんにとって難しいかもしれないけど、見分けるポイントと対応手順を覚えれば大丈夫!
新人:
ありがとうございます!波形も含めてしっかり復習します!