新人看護師:
「先輩、12誘導心電図ってどこから見ればいいのか迷うんです。波形がいっぱいあって、何を優先して見ればいいのか分からなくて……。」
先輩看護師:
「そうだよね、最初はそう感じる人が多いよ。でも、一言でいうと、12誘導心電図でまず見るポイントは“ST変化”なんだ。 ST変化は心筋梗塞や狭心症などの重大なトラブルを見つける手がかりになるんだよ。」
新人:
「ST変化ってそんなに大事なんですね!詳しく教えてください。」
① 心筋梗塞とST上昇
先輩:
「まずは心筋梗塞だね。心筋梗塞では、冠動脈が完全に詰まることで心筋に血流が届かなくなって壊死してしまうんだ。その結果、心電図上でST上昇が見られることが多いよ。」
新人:
「ST上昇があると、心筋梗塞の可能性が高いんですね。」
先輩:
「そう。特にST上昇は緊急事態のサインだから、すぐに医師に報告して治療を開始する必要があるよ。例えば、V1~V4でST上昇があれば前壁梗塞の可能性があるといった具合に、異常の部位も分かるんだ。」
イラスト案:
- 冠動脈の詰まりを示す図:冠動脈が完全に閉塞している部分を赤色や「×」で強調。
- ST上昇の波形:正常波形とST上昇波形を並べた図(特にV1~V4を例に)。
② 狭心症とST低下
先輩:
「次は狭心症だね。狭心症では、冠動脈が狭くなることで心筋が一時的に血流不足になるんだ。これによって、心電図上でST低下が見られることが多いんだよ。」
新人:
「心筋梗塞とは違って、一時的なものなんですね。」
先輩:
「そう。ただし、狭心症の場合、症状が出ている時だけST変化が現れることがあるから注意が必要だよ。例えば、患者さんが胸痛を訴えたら、すぐに12誘導心電図を取ることが大切だね。症状が治まると波形が戻ってしまうから、チャンスを逃さないようにしないとね。」
新人:
「なるほど!痛みがある時に急いで心電図を取るんですね。」
イラスト案:
- 冠動脈が狭くなっている図:部分的に狭窄している冠動脈を黄色で強調。
- ST低下の波形:正常波形とST低下波形を並べた図(特にII、III、aVFを例に)。
まとめ
心疾患 | 特徴 | ST変化 | 対応 |
---|---|---|---|
心筋梗塞 | 冠動脈が完全に閉塞し、心筋が壊死する | ST上昇 | すぐに医師に報告し、治療を開始 |
狭心症 | 冠動脈の狭窄により、一時的に血流が不足する | ST低下(症状がある時のみ) | 症状時に迅速に心電図を記録 |
次回予告
新人:
「ST変化がとても重要なポイントだということが分かりました。でも、ST変化を見つけた後はどうすればいいんですか?」
先輩:
「いい質問だね!次回は、ST変化を見つけた後に注目すべきポイントについて解説するよ。例えば、どの誘導で異常があるのか、波形の他の部分に異常がないかを確認していくんだ。」
新人:
「分かりました!次回も楽しみにしています!」