前置き
先輩:
前にも説明したけど、心臓を工場に例えると、洞結節が社長、心房が倉庫、心房細胞が秘書、房室結節が部長、心室が出荷場、心室細胞が社員という関係だったよね。この比喩で、P波がなくなったりRR間隔が不正になる理由を説明するね。
新人:
洞結節が指示を出して、心房や心室がその指示通りに動く仕組みですよね。
先輩:
そうそう。でも時々、秘書(心房細胞)が社長の指示を無視して勝手に動くときがある。それが、心房粗動や心房細動みたいな不整脈の状態なんだよ。
新人:
心房粗動って、心房細動とどう違うんですか?
先輩:
いい質問だね!まず、心房粗動(フラッター)は心房細胞、つまり秘書たちが規則正しく、でも異常に早いペースで活動してる状態なんだ。
新人:
規則正しいんですね。それってどうやって見分けるんですか?
先輩:
心電図でP波がノコギリの刃みたいな形になるんだ。これを「F波」って呼ぶよ。この波が心房が異常に速く収縮している証拠だね。
新人:
なるほど。じゃあ、脈はどうなるんですか?
先輩:
心房から心室に指示が伝わるのは、房室結節(部長)が調整してるから、伝わる回数によって脈が決まる。
たとえば、2回に1回伝わる「2:1伝導」なら脈拍は約150回、3回に1回の「3:1伝導」なら約100回、4:1なら約75回くらいになるんだよ。
新人:
それって、心房細動と違って規則的に脈が取れるってことですね!
先輩:
その通り。心房細動(Af)では脈がバラバラだけど、心房粗動は脈が規則的になるのが特徴なんだ。
まとめ(表)
特徴 | 心房粗動(Atrial Flutter) | 心房細動(Atrial Fibrillation) |
---|---|---|
P波 | ノコギリ波(F波) | 見られない |
脈の規則性 | 一定 | 不規則 |
心拍数 | 規則的(例:2:1伝導で約150回/分) | 不規則で速い(個人差あり) |
先輩:
心房粗動と心房細動の違いをしっかり覚えれば、患者さんの状態をより早く把握できるようになるよ!
新人:
ありがとうございます!表にするとすごく整理しやすいです。