新人看護師:
「下壁誘導が心臓の下を見ていることは分かりました!でも、この誘導でどんな波形変化が異常を意味しているのか教えてください。」

先輩看護師:
「いい質問だね。今日は、II、III、aVF誘導で見られるST変化について詳しく説明していこう。ちなみに、下壁心筋梗塞は心筋梗塞全体で最も頻度が高いことも覚えておいてね。」

新人:
「え、そうなんですか?下壁の心筋梗塞が一番多いんですね!」

先輩:
「そう。下壁心筋梗塞は全体の約40~50%を占めると言われているんだ。前壁が30~40%、側壁が15~20%くらいだから、下壁が最も多いんだよ。」


① ST上昇:下壁心筋梗塞の場合

先輩:
「心筋梗塞が下壁で起きた場合、II、III、aVF誘導でST上昇が見られることが多いんだ。これは、下壁を供給している右冠動脈(RCA)の閉塞が原因だよ。」

新人:
「ST上昇って、波形が基準線より上に持ち上がるんですよね?」

先輩:
「その通り。例えば、これが下壁心筋梗塞で見られる波形だよ。」
イラスト案:ST上昇の波形図:II、III、aVFでST部分が基準線より上に盛り上がった波形を示す。)

新人:
「II、III、aVFの3つの誘導で同時にST上昇が見られると、下壁心筋梗塞の可能性が高いんですね!」

先輩:
「その通りだね。特にIII誘導でのST上昇が最も顕著になることが多いから、ここに注目するのもポイントだよ。」


② ST下降:下壁虚血(狭心症)の場合

先輩:
「次に、狭心症のように一過性の虚血が下壁で起きた場合は、ST下降がII、III、aVF誘導で見られることがあるんだ。」

新人:
「ST下降は、波形が基準線より下に沈むんですね?」

先輩:
「そうだよ。例えば、これが狭心症で見られる波形だね。」
イラスト案:ST下降の波形図:II、III、aVFでST部分が基準線より下に沈んでいる波形を示す。)

新人:
「基準線より下に沈んでいるのが分かりますね!狭心症の場合、この波形は元に戻ることもあるんですか?」

先輩:
「その通り。狭心症では、胸痛が治まるとST変化も元に戻ることが多いよ。だから、症状があるときに心電図を取るのがとても重要なんだ。」


③ ST変化を見るときのポイント

先輩:
「下壁誘導のST変化を見るときは、3つの誘導を必ずセットで確認することが重要だよ。特に、ST変化のパターンをしっかり見ることで、心筋梗塞なのか虚血なのかを判断する手がかりになるんだ。」

新人:
「II、III、aVFをセットで確認するのがポイントですね!」


まとめ:下壁誘導でのST変化

波形変化誘導疾患特徴
ST上昇II、III、aVF下壁心筋梗塞(急性期)ST部分が基準線より上に盛り上がる。
ST下降II、III、aVF下壁虚血(狭心症など)ST部分が基準線より下に沈む。

次回予告

新人:
「下壁誘導についてよく分かりました!次はaVR誘導についても教えてください。」

先輩:
「いいね!次回は、aVR誘導の基本について説明するよ。aVRが心臓のどの方向を見ているのかを一緒に学んでいこう!」

新人:
「楽しみです!よろしくお願いします!」


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管理人どんどん

はじめまして、管理人のどんどんと言います。 看護師11年目の循環器ナースです。 心電図がわからない新人、中途採用、病棟異動できた看護師さんに心電図を指導していますが、病棟勤務のため対面では十分に教える時間が取れないことから、ブログという形で心電図の見方を伝えられたらと思い始めようと思いました。ブログは初めてなので、少しずつ改善していこうと思います。長い目で見て頂ければ、徐々に良くなっていくと思うのでよろしくお願いします。

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