心電図入門④ 〜12誘導心電図が心臓を映す仕組み〜

どんどん

こんにちは!

看護師歴12年目、現役循環器ナースのどんどんです。

このブログでは、心電図が苦手な看護師さん向けに、心電図の参考書を読む前の参考書をコンセプトに1記事5分程度で読めるように、やさしく・わかりやすく解説しています!

さて、今回は「12誘導心電図が心臓を映す仕組み」

をテーマに解説していきます!

この記事では、杉山裕章先生の本『心電図のみかた、考え方』を参考にして進めていくよ。

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目次

誘導が3つのグループに分かれる理由

エーエフちゃん

12誘導の順番どおりに『Ⅰ・Ⅱ・Ⅲでひとつ、aVR・aVL・aVFでひとつ』みたいに、わかりやすいグループ分けじゃないのはどうしてなの?

サイナスくん

いいところに気づいたね!じゃあ、ここで 『12誘導が心臓を映す仕組み』 を見ていこうか!

エーエフちゃん

お願いします!

サイナスくん

結論から言うとね、12誘導心電図は心臓を 3つの方法 で観察しているからなんだ。

エーエフちゃん

3つの方法って?

サイナスくん

じゃあ、まずはこの3つの図を見てみて。

1つ目はⅠ・Ⅱ・Ⅲの四肢誘導、2つ目はaVR・aVL・aVFの単極肢誘導、3つ目はV1〜V6の胸部誘導。

それぞれが“心臓をどの方向から見ているのか”を表しているんだ。

エーエフちゃん

単極肢誘導……?なんだか難しい言葉だね……

サイナスくん

うん、この言葉自体を無理に覚える必要はないよ。

大事なのは──12誘導心電図は 3つの方法 で心臓を見ているってこと。

そのため、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ誘導、aVR・aVL・aVF、V1〜V6の 3つのグループ に分けられているんだ」

ポイント①
  • 12誘導心電図は 3つの方法(四肢誘導・単極肢誘導・胸部誘導)で心臓を観察している
  • そのため、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、aVR・aVL・aVF、V1〜V6の 3つのグループ に分けられている

四肢誘導(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)〜モニターでおなじみⅡ誘導〜

サイナスくん

それじゃあ、次からはこの3つの方法をひとつずつ見ていこうか。

まずは、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ誘導である“四肢誘導”から説明するね。

サイナスくん

Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ誘導は、手足につけた電極を使って心臓を観察しているんだ。

それぞれの誘導は少しずつ違う方向から心臓を見ているんだけど、特に大事なのは“Ⅱ誘導”。

エーエフちゃん

あ、病棟のモニターに映ってる波形って、このⅡ誘導なんだよね?

サイナスくん

そう!病棟や救急でよく見るモニター心電図は、基本的にⅡ誘導が表示されているんだ!

エーエフちゃん

でも、なんでⅡ誘導なの?

サイナスくん

いい質問だね。理由は──心臓の電気の流れがⅡ誘導の方向に“まっすぐ飛び込んでくる”からなんだ。

見てみて。心臓の電気は“左上から右下”に流れていくよね。

Ⅱ誘導は“右上から左下”に心臓を観察している。つまり、この流れがⅡ誘導に正面からぶつかってくるんだ」

エーエフちゃん

そっかぁ、だからⅡ誘導だと波形が見やすいんだね!

うん。電気の流れをちょうど正面から受け止めているから、P波もQRS波もT波も分かりやすく映るんだ。だからモニターではⅡ誘導がよく使われているんだよ。

ポイント②
  • Ⅰ・Ⅱ・Ⅲは四肢誘導で、それぞれが違う角度から心臓を観察している
  • モニター心電図で使われるのは Ⅱ誘導
  • 理由は、心臓の電気の流れを正面からキャッチできるから。波形がハッキリ見えて、観察しやすい。

単極肢誘導(aVR・aVL・aVF)〜R・L・Fがヒント!aVRだけ逆向きになる理由〜

サイナスくん

次は“単極肢誘導”を見ていこう。aVR・aVL・aVFの3つだよ。

エーエフちゃん

aVRとかaVLって、なんだかアルファベットの羅列にしか見えないんだけど……

サイナスくん

確かにね。でも実は、文字にヒントが隠されているんだ。

R・L・Fの文字は、それぞれ Right・Left・Foot の頭文字。

Rは右方向、Lは左方向、Fは足=下方向を表しているんだよ。

エーエフちゃん

へぇ〜!アルファベットで方向を表してるんだ!

サイナスくん

そうそう。だからaVRは“右上から”、aVLは“左上から”、aVFは“下から”心臓を見ているってことになるんだ。

サイナスくん

ここでちょっと注目してほしいのが“aVR”。

この図を見てみて。心臓の電気の流れは、洞結節から出て心房、心室へと 左上から右下に向かって進んでいくんだ」

エーエフちゃん

ほんとだ、矢印が右下に伸びてるね!

サイナスくん

そして誘導の方向を見ると──aVRだけは“右上から”心臓を見ている。つまり 電気の流れとは反対方向になるんだ

そして、心電図には基本のルールがあって、

電気の流れが誘導に向かってくると波形は上向き、遠ざかると波形は下向きになる。

だからaVRは電気の流れと逆方向にあるから、P波もQRS波もT波も全部下向きになるんだよ。

エーエフちゃん

なるほど!“向かってくるか、離れていくか”で波形の向きが決まるんだね!

ポイント③
  • R・L・Fの文字は方向を表している(Right=右、Left=左、Foot=下)
  • 心電図の基本ルールは「電気の流れが誘導に向かってくると波形は上向き、遠ざかると下向き」
  • aVRは電気の流れと逆方向にあるため、P波・QRS波・T波がすべて下向きになる

胸部誘導(V1〜V6)〜シールの位置がそのまま視点〜

サイナスくん

最後は“胸部誘導”。V1〜V6だよ。

サイナスくん

胸部誘導はシンプルに覚えられるんだ。

貼った心電図シールの場所から、そのまま心臓を観察しているイメージなんだよ。

エーエフちゃん

なるほど〜!シールを貼った位置から直接のぞき込んでるってことだね!

サイナスくん

そうそう。だから──

  • V1〜V4は胸の前にシールを貼るから、前壁グループ
  • V5・V6は左の横にシールを貼るから、側壁グループ

と覚えると、すごくわかりやすいんだ。

エーエフちゃん

おぉ〜!シールの位置と対応してるんだね!

サイナスくん

ちょっと詳しく言うと、V1は左室と右室の境目である“心室中隔”から、少し右室よりを見ている。だからaVR(右側グループ)とも関連があるんだよ。

でも、最初はシンプルにV1〜V4は前壁の仲間と覚えておけば十分だよ。

エーエフちゃん

うん、それなら忘れにくそう!

ポイント④
  • 胸部誘導は貼った場所から直接心臓を観察するイメージ
  • V1〜V4 → 前壁グループ
  • V5・V6 → 側壁グループ
  • V1は少し右室寄りでaVRとも関わりがあるが、まずは「V1〜V4=前壁」でOK

今回のまとめ

サイナスくん

じゃあ、今回の内容を整理してみよう!

1)12誘導心電図は3つの方法で心臓を観察している
 ① 四肢誘導(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)
 ・両手足の電極から心臓を観察
 ・モニター心電図で使われるのは Ⅱ誘導
  ・理由は、心臓の電気の流れを正面からキャッチできるから。波形がハッキリ見えて、観察しやすい。


 ② 単極肢誘導(aVR・aVL・aVF)
 ・R=右、L=左、F=足の方向を表す
 ・特にaVRは電気の流れと逆向き → P波・QRS波・T波がすべて下向きになる


 ③ 胸部誘導(V1〜V6)
 ・シールを貼った位置から直接心臓をのぞくイメージ
 ・V1〜V4=前壁、V5・V6=側壁

2)グループ分けの意味
 ①12誘導は「どの方向から心臓を見ているか」で整理されている。
 ②ST変化を見つけたときは「同じグループでも変化があるか」を確認すると精度が上がる。

エーエフちゃん

ふぅ〜、これで12誘導の仕組みがずいぶんクリアになった気がするよ!

サイナスくん

ここまでで12誘導心電図の基礎学習はひと通り完了だね。

でもね、一度聞いただけで全部覚えるのは難しいし、忘れてしまうのは当たり前。

大事なのは、これから何度も復習して、少しずつ体に染み込ませていくことなんだ。

復習するほどに、12誘導が少しずつ自分のものになっていくんだよ。


どんどん

おつかれさまでした〜!

今回は「12誘導が心臓を映す仕組み」を学びました。

心臓をいろんな角度からのぞくイメージ、少しずつつかめてきましたか?

焦らず、ゆっくり積み重ねていけば、きっと読めるようになりますよ。

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管理人どんどん
はじめまして、管理人のどんどんと言います。 看護師12年目の循環器ナースです。 心電図がわからない新人、中途採用、病棟異動できた看護師さんに心電図を指導していますが、病棟勤務のため対面では十分に教える時間が取れないことから、ブログという形で心電図の見方を伝えられたらと思い始めようと思いました。ブログは初めてなので、少しずつ改善していこうと思います。長い目で見て頂ければ、徐々に良くなっていくと思うのでよろしくお願いします。