この記事では、杉山裕章先生の本『心電図のみかた、考え方 応用編』を参考にして進めていくよ。
目次
ST上昇=まず梗塞を疑え!

まず一番に知っておいてほしいのは──
心電図で“新しくST上昇が出てきたら、まず急性心筋梗塞を疑う! ということなんだ

えっ!?それってすごく危ないんじゃないの!

その通り。ST上昇は“緊急サイン”。現場では『ステミー(STEMI)』とも呼ばれているんだ。
特に胸痛があってST上昇していたら、ほぼ心筋梗塞と考えて緊急対応するべきなんだよ

ステミー?名前はかわいいのに…実はめちゃくちゃ怖いサインなんだね!

そう。“STEMI=ST上昇型心筋梗塞”。すぐに治療を始めないと命に関わる超緊急疾患なんだ



ほんとだ!基準線よりSTがぐっと上がってる!
- 新規のST上昇 を見たら → まず急性心筋梗塞を疑う
- 胸痛+ST上昇 があれば → さらに強く心筋梗塞を疑って緊急対応!
- STEMI(ステミー)=ST上昇型心筋梗塞 → 命に関わる超緊急疾患
梗塞と狭心症の決定的な差

そういえば、心筋梗塞と狭心症ってどこが違うの?

決定的な違いはね──心筋梗塞は心筋が壊死してしまうこと。
壊死するとVF(心室細動)みたいな致死的不整脈を起こして死に直結するし、治療しても壊死した心筋は元には戻らないんだ。
一方、狭心症は血流不足で痛みは出るけど、心筋はまだ壊死してない。だから血流が戻れば回復できるんだよ

なるほど!“壊死してるかどうか”が大きな違いなんだね
- 心筋梗塞:心筋壊死 → 緊急対応必須、壊死した心筋は元に戻らない
- 狭心症:血流不足 → 心筋壊死してない → 血流回復で改善可能
梗塞以外でもSTは上がる?

でもさ、ST上昇って梗塞以外でも起きたりするの?

実はあるんだ。たとえば──
- 早期再分極:若い人やスポーツしている人に多い、その人特有の波形。症状はなくてもSTが少し高めに出ることがある。
- 心膜炎:心臓を包む膜に炎症が起こる病気。
発熱や胸痛を伴ってSTが上がることがあるんだ

へえ!梗塞以外でもST上がるんだ!

そうなんだけど、ここが大事。心電図で新しくSTが上昇していたら、まず急性心筋梗塞を疑う!
他の可能性はそのあとに考えればいいんだよ
- ST上昇は 早期再分極や心膜炎 でも見られる
- でも、まずは急性心筋梗塞を疑うのが鉄則!
なぜSTが上がるの?

でも…なんで梗塞のときにSTが上がるの?

そこはちょっと難しい話になるんだ。“活動電位”とか“損傷電流”といった専門的な仕組みが関わってるからね。
でも今の段階では深く考えなくても大丈夫!大事なのは──
『心筋梗塞ではSTが上昇する』 と覚えておくことなんだ

なるほど、今はシンプルに覚えておけばいいんだね!
- 理由は専門的で難しい
- まずは 「心筋梗塞ではST上昇」 と覚えよう!
今回のまとめ

じゃあ、今回の内容を整理してみよう!
- 新規のST上昇 を見たら → まず急性心筋梗塞を疑う
- 胸痛+ST上昇 があれば → さらに強く梗塞を疑い、緊急対応!
- 心筋梗塞=心筋壊死、狭心症=心筋の一時的な虚血
- 他の病態(早期再分極・心膜炎)でもST上昇はあるが、まずは梗塞を疑う!
- 理由は難しいので今は考えず「梗塞=ST上昇」とシンプルに覚えよう

ST上昇はだいぶわかってきた!…じゃあSTが下がるとどうなるの?

それもすごく大事なサインなんだ。次回は“ST低下”について解説していくよ!

今回は ST上昇ってめちゃくちゃ大事なサインなんだよ っていうお話でした。
“あ、こういうことか!”って少しでもスッキリしてもらえたら嬉しいです。
次回は“STが下がるとどうなるの?”を一緒に見ていきましょう。
心電図、苦手でも大丈夫!ゆっくり慣れていけばきっと読めるようになりますよ〜
こんにちは!
看護師歴12年目、現役循環器ナースのどんどんです。
このブログでは、心電図が苦手な看護師さん向けに、心電図の参考書を読む前の参考書をコンセプトに、1記事5分程度で読めるようにやさしく・わかりやすく解説しています!
今回は 「STが高いとどうなるの?」 をテーマに解説していきます。