杉山裕章先生の『心電図のみかた、考えかた』(中外医学社)は、12誘導心電図をステップアップしたい方におすすめの一冊です。
目次
“外す or 外さない”を決めるポイント

ねえサイナスくん。12誘導心電図をとったあとって、モニターシールは外していいの?それとも貼ったままにしておくの?

いい質問だね。結論から言うと――
- “両手両足のシール(四肢誘導)は、検査が終わったら外して大丈夫”
- “胸に貼る6枚のシール(胸部誘導)は、外すかどうかは“目的による”
んだよ。

目的によるって、どういうこと?

例えば、洞調律や心房細動などの不整脈を確認するだけなら、胸部誘導は位置が多少ズレても診断できるから外してOK。でも、ST変化を評価したいときは、同じ位置で波形を比べることがすごく大事だから、シールはそのままにしておいた方がいいんだ。

なるほど〜!つまり、リズムをみるときは外してOK、STをみるときは外さないってことね。
- 四肢誘導は検査後に外してOK
- 胸部誘導は目的によって判断が必要
- リズム確認なら外してもOK、ST変化をみたいなら残す
四肢誘導はなぜ外してもいいのか

じゃあまず、なんで両手両足のシール(四肢誘導)は外してもいいの?

それはね、四肢誘導は両手と両足に貼った電極を線で結んで、心臓を真ん中に置いて観察する仕組みになっているからなんだ。

えっ、どういうこと?ちょっとイメージできないんだけど……

じゃあ図で見てみようか。左上の赤、右上の黄、右下の緑のパッチを線で結ぶと、大きな三角形ができるよね。その真ん中に心臓があるとイメージしてみて。


あっ、なるほど!三角の真ん中に心臓を置いて見るイメージなんだね。

そういうこと。だから四肢誘導は“手足の電極で作った三角形から心臓を見ている”イメージなんだ。だから少し貼る場所が違っても、見ている方向はほとんど変わらないんだよ。つまり検査が終わったら、四肢のシールは外して大丈夫なんだ。

へえ〜、だから外しても大丈夫なんだ!

ちなみに黒の電極(右足)は、波形には関係しないんだ。ただ心電図を安定させるための“下支え役”って思っておけばOKだよ。
- 四肢誘導は“三角形の真ん中に心臓を置いて見る”イメージ
- 少しズレても方向は変わらないので外してOK
- 黒(右足)は波形に出ない“下支え役”
胸部誘導はなぜ位置が重要なのか

じゃあ胸のシール(V1〜V6)はどうなの?それも外していいの?

ここが大事なところなんだ。胸部誘導はね、“電極を貼った場所そのものから心臓を見ている”んだよ。だから位置が少しでもズレると、心臓を見ている角度が変わって、波形も変わっちゃうんだ。

えっ、波形ってそんなに変わるの?

そうなんだ。特にST変化を評価するときは、前回と同じ位置で比べることがとても大事なんだ。もしシールの位置がズレていたら、“変化があったのか”“ただズレただけなのか”が分からなくなってしまうからね。

なるほど〜!だから胸部誘導は、ST変化を見るときに特に注意が必要なんだね!

そうそう。でもね、洞調律や心房細動、心室頻拍、房室ブロックみたいな“不整脈”を見るのが目的のときは位置が多少ズレても大丈夫なんだ。なぜかというと、不整脈は“波形の形そのもの”よりも“リズムや有無”がポイントだからね。

あー、確かに!リズムが乱れてるとか、P波があるかないかって、多少シールの位置が違ってもわかるもんね。

その通り。だから胸部誘導は、目的によって“残すか外すか”を判断するのが大事なんだよ。
- 胸部誘導は「貼った場所そのもの」から心臓を見ている
- 位置がズレると波形も変わる
- ST変化の比較は同じ位置で必須 → 外さない
- 不整脈の確認なら多少ズレても診断可能
モニターシールを外さないと皮膚トラブルに?

でもさ、皮膚が弱い人だとかぶれちゃったりしないの?モニターシールをずっと貼ったままで大丈夫なの?

いい疑問だね。実際、長時間そのままにしておくと皮膚が赤くなったり、かぶれたりすることがあるんだ。だから、患者さんの皮膚の負担も考えてあげることが大事なんだよ。

じゃあ、どうすればいいの?

方法はシンプルでね。シールを貼った位置にマジックで印をつけておいて、一度外してから同じ場所に貼り直すんだ。これなら皮膚トラブルを防ぎながら、ST変化も正確に比べられるよ。

なるほど〜!そうすれば肌にも優しいし、診断の正確さも守れるんだね。

その通り。だから“貼りっぱなし”じゃなくて、皮膚と波形、両方を守る工夫をするのが大事なんだよ。
- 貼りっぱなしだと皮膚が赤くなる・かぶれるリスクあり
- 位置をマーキングして外し、同じ場所に貼り直すのが安全
- 肌と波形、両方を守る工夫が大事
今回のまとめ

じゃあ最後に、今回のポイントをまとめておこうか。
- 四肢誘導は外してOK(位置ズレしても方向は変わらない)
- 胸部誘導は目的次第
- リズム確認(不整脈など)なら外してもOK
- ST変化を評価するときは必ず同じ位置で比較 → 外さない
- 皮膚トラブル防止の工夫としてマーキングして貼り直すのがおすすめ

今回はここまで!おつかれさまでした〜。
完璧じゃなくていいんです。ゆっくり覚えていきましょう!
こんにちは!
看護師歴12年目、現役循環器ナースのどんどんです。
このブログでは、心電図が苦手な看護師さん向けに、心電図の参考書を読む前の参考書をコンセプトに、1記事5分程度で読めるように、やさしく・わかりやすく解説しています!
さて今回は、12誘導心電図をとった後に「モニターシールって外していいのか?」について話そうと思います。