心電図って、細かく読もうとするとすごく難しいですよね。
でも実際の現場では、
- これは危険な波形?
- 報告した方がいいのかな?
そんなふうに、ざっくりと「これは大丈夫そう」「これはヤバそう」と、
大まかに分類できる力のほうが役立つ場面も多いと思いませんか?
この記事では、現場で8番目に多く見られる不整脈「一度ブロック(1AVB)」について、
波形の特徴から、見つけたときの対応方法までをやさしく解説していきます!
目次
1)一度ブロックとは?

一度ブロックは、房室結節がちょっと**“スローモード”になっているだけ。
心房から心室への電気信号は、時間がかかるけどちゃんと伝わる**んです。
だからPQ間隔は延びるけど、QRS波は毎回出てきます。

ねぇサイナスくん、そもそも房室結節って何なの?名前は聞いたことあるけど、よくわかんない〜

房室結節はね、心房に伝わった電気信号を心室にバトンタッチする中継地点なんだ。
ここがちょっとスローになると、PQ間隔が長くなるんだよ
2)一度ブロックの波形の特徴
一度ブロックの心電図は、パッと見た感じ洞調律とすごく似ているんです。
実際にこんな特徴があります。
- P波がある
- RR間隔も一定でリズムが整っている


えっ、これって洞調律じゃないの〜?いつも通りじゃん?
でも、ここで見逃しちゃいけないポイントがひとつだけあります。
それが――
PQ間隔が0.2秒(=5目盛り)以上に延びていること!
このPQ間隔の延びこそが、一度ブロック最大の特徴。

それ以外は洞調律とそっくりなので、見た目だけで判断しないことが大切です。

そう、一度ブロックは“洞調律そっくり”だけど、PQ間隔の長さが決定的な違いなんだ!

でもさ、PQ間隔が0.2秒以上って…どうやって測るの?見た目でわかんないよ〜

いい質問!波形を印刷した用紙にはマス目がついてるんだ。
1マスが0.04秒だから、5マス分(=0.2秒)以上あれば一度ブロックと判断できるよ!

「見た目は洞調律だけど、PQ間隔が長い」
この一点をしっかり押さえておけば、洞調律との混同を防げます!
3)一度ブロックになる4つの原因
① 加齢でスピードが落ちるから
年齢とともに、心臓の伝導路も少しずつ古くなって、電気の流れがゆっくりになることがあります。

房室結節くん、最近ちょっと反応遅くない…?

うん、年を重ねると少しずつスピードが落ちてくるんだ。だけど、仕事はちゃんとしてるよ!
② 副交感神経の影響でブレーキがかかるから
リラックス中や睡眠時など、副交感神経が優位になると、
「そんなに急がなくていいよ〜」と、房室結節がブレーキをかけられることがあります。

なんかのんびりしてると思ったら、お昼寝モードだったのね〜

そう、リラックスしてるときは“ちょっとゆっくりでいいよ”って指令が来るんだ
③ 薬の影響でスローモードになることも
β遮断薬やジギタリスなどの薬には、心拍数を抑える作用があります。
その影響で房室結節のスピードもゆっくりになることがあります。

もしかしてその動き…お薬の影響?

そうかも。β遮断薬とかで“スピード制限中”なんだよ
④ 心臓の病気や障害で伝わりにくくなることも
まれに、心筋梗塞や心筋炎などで房室結節がダメージを受けると、
電気信号をスムーズに通せなくなることがあります。

ここ、なんか通りにくそうじゃない?

うん、もしかしたら組織が傷んでて“電気の流れ道”が悪くなってるのかも
一度ブロックになる原因をまとめると…
房室結節くんが「年齢・休憩モード・薬・ダメージ」などの影響で、
ちょっとスローペースになってるだけなんです。
でも、ちゃんと電気は心室に届いているので、
QRS波は毎回きちんと出てくるのが一度ブロックの特徴なんです!
4)一度ブロックの症状
一度ブロックは、特に症状がありません。
そのため、多くの場合は心電図でたまたま見つかるだけです。

え〜っ、そんなの本人も気づけないじゃん!

うん。だから症状がないなら、基本は経過観察でOKなんだよ
ただし、こんな症状がある場合は注意が必要です。
- 胸が痛い
- 息が苦しい
- ドキドキする(動悸)
- めまいやふらつきがある
これらの症状があるときは、他の不整脈や心疾患が関係している可能性が高いです。
必要に応じて医師へ報告しましょう!
5)一度ブロックの治療方法
一度ブロックが見つかっても、ほとんどの場合は治療の必要はありません。
症状がなくて、心室にちゃんと電気が届いているなら、
「いつもよりちょっとスローだけど、ちゃんと仕事してるね〜」という感じで、経過観察が基本です。
- 心臓の病気(基礎疾患)がある場合は、そちらを優先して検査や治療を進めます。
- 薬が原因(β遮断薬・ジギタリスなど)の場合でも、ブロックが進行していなければ、薬をやめずにそのまま様子を見ることもよくあります。

へぇ〜治療しなくてもいいんだ。でも、ずっと放っておいてもいいの?

油断は禁物!ときどきブロックが進行することもあるから、モニターや心電図でしっかり見守ることが大事なんだよ。
まとめると、
「基本はそのままでOK。でも進行しないかはしっかりチェック」
そんなスタンスで向き合うのが、一度ブロックのケアのコツです!
今回のまとめ
- 一度ブロックは、PQ間隔が0.2秒以上に延びているのが最大の特徴!
- QRS波は毎回出てくるので、電気はちゃんと心室に届いている
- 見た目は洞調律と似ているけど、PQ間隔の長さがカギ!
- 症状は特になく、基本は経過観察でOK
- でも、他の病気や薬の影響、進行の可能性には注意!
今回はここまで!おつかれさまでした〜
完璧じゃなくていいんです。ゆっくり覚えていきましょう!
こんにちは!
循環器ナース歴9年目、看護師歴12年目のどんどんです!
この記事は、病棟で働く“心電図が苦手な看護師さん”向けに書いています。