洞調律（どうちょうりつ）

……全然違うよ。同じに見えるのは、まだ基準を知らないからだね。

は、早いな…。まぁいい、まずは“洞調律”から始めよう。これが基本中の基本だ。

ダメ。基礎を知らずに応用から入っても、必ずつまずく。まずは一番大事な“基準”を覚えるんだ。

まずはこの波形を見てみて。これが洞調律なんだ。

いや、それだけの感想!? ちゃんと見るんだよ。

じゃあ、洞調律を見分けるポイントを3つ教えるよ。

1つ目、P波があること。これは心房がちゃんと動いてるサインだ。

だからこそ意識して探すんだ。次、2つ目はRR間隔が一定であること。つまり心拍のリズムがそろっているってことだね。

RR間隔っていうのは、QRS波とQRS波の間の間隔のことだよ。つまり、“心拍と心拍の間の時間”だね。

そう。そして3つ目、PQ間隔が5マス以内。心房から心室に電気が伝わる時間が正常ってことだ。

1マス＝0.04秒っていう決まりがあるから。5マス以内なら0.20秒以内で正常ってわけ。

簡単に言うと、心臓の電気信号が“正しい順番”で流れている状態のことだよ。

心臓にはリーダー的存在の“洞結節（どうけっせつ）”ってのがいて、こいつが『トン、トン、トン』って指示を出してるんだ。その指示どおりに心房と心室が動いているのが洞調律。

そうそう。ちゃんと指揮者がいて、その指示で心臓を動かす仕事をしてる…そんなイメージだね。

そのとおり。だから洞調律は“正常なリズム”の代名詞なんだよ。

教科書的には、洞調律の正常値ってこんなにあるんだよ。

• P波の幅（0.75mm未満）、高さ（2.5mm未満）
• QRS波の幅（2.5mm以下）
• T波の形（左右対称）
• PR間隔（3〜5mm）
• RR間隔（3〜5マス）
• QT時間（0.36〜0.44秒）…などなど。

安心して。最初から全部覚える必要はないよ。まずは最初に説明したP波がある・RR間隔が一定・PQ間隔が5マス以内、この3つだけ覚えれば十分だよ。

じゃあ、P波を見つけるコツを教えていくね。

うん、あるんだ。まずはQRS波を探してみて。

そう。このQRS波の後には必ずT波がくるんだ。

そう。これが波形を見るときの法則のひとつ。QRS波の後には必ずT波がくる。そして、このT波と次のQRS波の間にある波形は、なんだと思う？

そういうこと。P波を探すときは、まずQRS波とT波を見つけて、その間を確認すれば見つけやすいんだ。

じゃあ最後に、今日のポイントをまとめておこうか。

うん、その調子。その基準がわかれば、これから他の波形も見分けやすくなるはずだよ。

…また応用から行こうとしてるな。まずは復習からだよ。