この記事では、佐藤弘明先生の本『レジデントのためのこれだけ心電図』を参考にして進めていくよ。
目次
- 急に始まるドキドキの正体=PSVT!
- PSVTのサインを見抜こう!
- そのドキドキはどのタイプ?頻脈の見分け方
- 気づいたときにまず確認すべきこと
- 治療について知っておこう
- 長引くとどうなる?
- ざっくりメカニズム解説!
- 今回のまとめ
急に始まるドキドキの正体=PSVT!


ねえサイナスくん、PSVTって何なの?

PSVTは“発作性上室性頻拍”のこと。
心臓って、上の部屋(心房や房室結節)と下の部屋(心室)に分かれているんだけど、PSVTはその“上の部屋”が原因で起こる頻拍なんだ。
名前にある“発作性”の通り、急に始まって急に止まる不整脈なんだよ。

そっか!上の部屋が原因で発作的に起こる頻拍だから、“発作性上室頻拍”っていうんだね。

そうだね。簡単に言うと、“急にドキドキが始まって急に止まるタイプの不整脈”ってイメージするとわかりやすいよ。
PSVTのサインを見抜こう!


どんな特徴があるの?

突然始まって、また突然止まるのが特徴なんだ。
波形ではRR間隔は規則的で、P波は速すぎて隠れて見えにくい。
さらにQRSは細いことが多くて、心室頻拍と見分けるときに役立つよ。
脈はだいたい150〜250回/分くらいまで上がるんだ。
- 突然始まって、突然止まる
- RR間隔は規則的
- P波は速すぎて隠れて見えにくい
- QRSは細いことが多く、心室頻拍との鑑別に役立つ
- 脈拍はおよそ150〜250回/分まで上昇する
そのドキドキはどのタイプ?頻脈の見分け方

ねえサイナスくん、頻脈っていろいろあるよね?
心房細動、心房粗動、心室頻拍とか……。
それってどうやって見分ければいいの?

頻脈を見たら、まず“QRSが細いか・太いか”で大きく分けるのが基本だよ。
- 細い場合 → 上室性(PSVT、心房細動、心房粗動、洞性頻脈など)
- 太い場合 → 心室頻拍を考える
初心者は細かい波形の違いよりも、まずこの見分け方を覚えるのが大事なんだ。

なるほど!じゃあ細いときはどうやって区別するの?

そのときに参考になるのがこれ。
- RR間隔が不整 → 心房細動
- F波が見える → 心房粗動
でも実際は、レートが150とかで速すぎると区別は難しいことも多いんだ。
だからまずは“細いか太いか”で仕分けて、そこから余裕があれば波形を丁寧に見ていくって順番が基本なんだよ。

なるほど〜!まずは“細いか太いか”で見極めるってことね。
- 頻脈を見たら、まずは QRSが細いか・太いか を確認
- 細い場合 → 上室性(PSVT・心房細動・心房粗動・洞性頻脈など)
- 太い場合 → 心室頻拍を考える
- 細かく区別するときは
・RR間隔が不整 → 心房細動
・F波が見える → 心房粗動 - 実際の臨床では速すぎて見分けにくいことも多いので、最初は「細いか・太いか」で仕分けることを優先!
気づいたときにまず確認すべきこと

じゃあ、もし速い脈を見つけたらどうすればいいの?

まずは患者さんの観察が最優先。
脈が150って、フルマラソン中の人の心拍くらいだから、心臓にとってはかなりの負担なんだ。
運動やリハビリの直後なら、体の反応として洞性頻脈が出ることがあるから、少し安静にしていれば、だいたい脈は元に戻るよ。
でも安静時なのに速い脈が続くようなら、PSVTや心房細動・心房粗動などの不整脈を疑って注意が必要なんだ。
その場合は、胸の痛み、息苦しさ、意識状態、血圧やSpO₂を必ず確認して、先輩や医師に相談するんだよ。
- まずは患者さんの観察が最優先
- 運動やリハビリ直後 → 洞性頻脈のことが多く、安静で回復しやすい
- 安静時に持続する場合 → PSVT、心房細動、心房粗動などの不整脈を疑う
- 胸痛・息苦しさ・意識・血圧・SpO₂を確認して、必ず先輩や医師に相談すること
治療について知っておこう

治療ってどうするの?

多くは数分〜数十分で自然に止まることもある。
でも止まらないときは薬を使うんだ。
よく使われるのがワソラン(ベラパミル)。ただし投与で急に脈が下がることがあるから注意が必要だね。

薬で止まらなかったら?

いい質問だね。
薬でコントロールできない場合や、何度も繰り返して生活に支障があるときには、カテーテルアブレーションっていう根治治療が選ばれることがあるんだ。
カテーテルを心臓に入れて、脈が速くなる原因部分を焼き切る治療で、再発を防ぐ効果が期待できるんだよ。
ただし、この治療はどこでもできるわけじゃなくて、実施できる病院が限られているんだ。

へぇ〜!薬で効かないときに、そういう治療があるんだね!
- 数分〜数時間で自然に治まることもある
- 薬剤治療
→ ワソラン(ベラパミル)などで脈を落とすことが多い
→ 急に脈が下がるリスクがあるため、投与時は注意が必要 - 薬でコントロールできない場合や再発を繰り返す場合
→ カテーテルアブレーションが根治治療として選ばれる
→ 脈が速くなる原因部分を焼き切って再発を防ぐ
→ ただし、できる病院は限られ、必ず医師の判断で行う
長引くとどうなる?

もしずっと続いたらどうなるの?

頻脈が長時間続くと心臓が疲れて、心不全になるリスクがあるんだ。
さらに心房細動や粗動だった場合には、血栓ができて脳梗塞のリスクも上がるから、放置は絶対NGだよ。
ざっくりメカニズム解説!

そういえば、PSVTの仕組みってどうなってるの?

正直、初心者のうちは無理に理解しなくても大丈夫。でもざっくり言うとね――
普通は洞結節から一方通行で電気が流れるんだけど、PSVTでは電気がループしてグルグル回って、心室に何度も信号が伝わっちゃうんだ。
つまり“電気の無限ループ”状態だね。

なるほど、無限ループね!イメージはつかめたよ。
今回のまとめ

まとめると――
- PSVTは“急に始まる細いQRSの頻拍”
- 見分け方はQRSの幅に注目、患者の観察が最優先
- 多くは自然に止まるが、薬やカテーテルアブレーションが必要なこともある
- 長引けば心不全リスクあり
- 仕組みは“電気の無限ループ”って覚えればOK!」

ふむふむ。なんとなく全体がつかめてきたよ!

PSVTって聞くとちょっと難しく感じるけど、実は“急に始まって急に止まるドキドキ”なんだな〜くらいでOK。
まずは“細いか太いか”を見られれば十分!
あとは少しずつ慣れていきましょ。
今日はここまで〜、おつかれさまです!
こんにちは!
看護師歴12年目、現役循環器ナースのどんどんです。
このブログでは、心電図が苦手な看護師さん向けに、心電図の参考書を読む前の参考書をコンセプトに1記事10分程度で読めるように、やさしく・わかりやすく解説しています!
さて、今回は「発作性上室性頻拍(PSVT)」
をテーマに解説していきます!