この記事では、大島一太先生の本『これならわかる!心電図の読み方』を参考にして進めていくよ。
目次
洞不全症候群(SSS)って何?


ちょ、ちょっとサイナスくん! この波形……!
P波もQRSも何も映ってないんだけど!?
これって心臓止まっちゃったの!?

びっくりするよね。
でも落ち着いて。
この波形は“洞不全症候群(SSS)”なんだ。

洞不全症候群(SSS)って、なんなの?

簡単にいうとね、心臓のリズムを作ってる“洞結節”が、一時的に命令を出さなくなっちゃう状態なんだ。
原因はいくつかあって、加齢で洞結節の働きが弱くなったり、薬の影響で動きが抑えられたり、さらに周りの組織が固くなって電気が伝わりにくくなることもあるんだ。
その間は心房も心室も動かないから、心電図では数秒だけ心臓が止まったように波形が消えて見えるんだよ。

えっ……心臓が止まるなんて危なすぎない!?
そのまま止まっちゃったりしないの?

洞不全症候群は、そのまま心停止になって死亡することはないと言われているよ。
だから見つけたときは落ち着いて対応すれば大丈夫だよ。
- 洞不全症候群とは、加齢や薬の影響で洞結節が一時的に命令を出さなくなる、または周りの組織が固くなって電気が伝わりにくくなることで起こる状態。
- その間は心房も心室も動かず、心電図は“数秒だけ心臓が止まったような波形”になる
ピンチのときは交代要員! 心臓のバックアップ

そうなんだ……。
でもさ、どうして“そのまま心停止になって死亡することはない”って言えるの?
数秒でも心臓が止まってるなら、そのまま止まっちゃってもおかしくない気がするんだけど……。

いい質問だね。
実は心臓って、ちゃんと“控えの選手”を用意してあるんだ。
洞結節が休んじゃっても、心房や心室の下の方にある細胞が“じゃあ、代わりにリズムを作ろう”って出てくれるんだよ。
だから完全に止まってしまうことはめったにないんだ。

ちゃんと“控えの選手”もいるんだね。それならちょっと安心だ〜。

ただね、“ずっと止まる”ことはないけど、“数秒くらい止まる”ことはあるんだ。
特に5秒以上止まってしまうと、失神することがあるから注意は必要なんだよ。
- 洞結節が止まっても、心臓には“控えの選手”のような細胞がいて代わりにリズムを刻む。
- この働きのおかげで、そのまま心停止になることはめったにない。
- ただし、5秒以上止まると失神することがあるので注意が必要。
知っておこう!SSSの3つの特徴

さっき、洞結節がお休みしちゃうから心臓が一時的に止まったみたいに見えるって言ってたよね。
じゃあ、洞不全症候群(SSS)って具体的にどんな特徴があるの?

そうだね。今まで話した内容をまとめると、SSSにはこんな特徴があるんだ。
まず1つ目は――数秒間、P波もQRSも出なくなること。
まさに心臓が一時的に休んでいるように見えるんだ。


波形がフラットになったら、思わず“心臓止まった!?”って焦るよね。

2つ目は――5秒以上止まると、めまいや失神を起こす可能性があること。
だから患者さんの観察がとても大事なんだ。

うわぁ……急に倒れたりしたら危ないね。

そして3つ目。
そのまま心停止になって死んでしまうことはめったにないって言われているんだ。
怖い波形だけど、落ち着いて対応すれば大丈夫だよ。

なるほど……
命に直結することは少ないけど、失神や転倒のリスクがあるからやっぱり注意が必要なんだね。
- 洞結節が一時的に命令を出さなくなることで、数秒間P波もQRSも消える
- 5秒以上止まると、めまいや失神を起こす可能性がある
- そのまま心停止して死亡することはめったにない
SSSの対応で1番大事なこと!

ねえサイナスくん、この洞不全症候群って、もしモニターで見つけちゃったらどうすればいいの!?

まず大事なのは患者さんの状態を確認しに行くこと。
波形だけ見て慌てるんじゃなくて、実際にめまい、息苦しさ、失神みたいな症状があるかどうかを確かめるんだよ。

なるほど!
つまり、波形だけ見て慌てるんじゃなくて、とにかく患者さんのところに行って様子を確認するのが一番大事ってことなんだね。

そういうこと!
失神やめまいが出ていたら、すぐに報告が必要だし、場合によってはペースメーカーの適応を考えることもあるんだ。
波形を読むのも大切だけど、やっぱり一番大事なのは“目の前の患者さん”だよ。
- モニターの波形だけで慌てるのではなく、まずは患者さんのもとに行って様子を確認することが最優先。
- 症状がある場合(めまい・失神など)は、すぐに先輩や医師へ報告。
- 重症例ではペースメーカーが必要になることもある。
今回のまとめ

じゃあ最後に、今回の覚えておくべきポイントをまとめるね。
- 洞不全症候群(SSS)は、洞結節が一時的に命令を出さなくなる、加齢や薬の影響、周囲組織の変化などで起こる
- 数秒間P波・QRSが消え、心臓が止まったように見える
- そのまま心停止で死亡することはめったにないが、5秒以上止まると失神リスクあり
- まずは「患者さんのところに行く」ことが最優先!!
- 症状がある場合はすぐ報告、場合によってはペースメーカーが必要

まとめて聞くと、すごく整理できた!
波形だけに慌てずに、まず患者さんを見に行くのが鉄則なんだね。

そうそう。
心電図は大切な情報だけど、一番大事なのは“目の前の患者さん”だからね。

よーし!
今回でだいぶ洞不全症候群(SSS)のイメージがつかめた気がする!

ところでさ……
洞不全症候群って、なんで“症候群”って言うの?
“症候群”っていろんな病気やパターンが集まってるイメージあるけど……
洞結節が休んじゃうだけなら、呼び方は“洞不全”だけでもよさそうじゃない?

いいところに気づいたね。
実は“洞不全症候群”って名前なのは、ひとつの原因やひとつの形じゃなくて、4つのタイプ(パターン)をまとめた総称なんだ。
しかもね、これって臨床でも意外と知らない人が多いんだよ。

えぇーーっ!? そうなの!?
じゃあ洞不全症候群(SSS)ってひとつの病気じゃなくて、4つの顔を持ってるってこと!?
そんなの全然知らなかったよ!

……あとさ、こういう“波形が途切れる”みたいな不整脈って、ほかにもあったりするの?

うん、あるよ。
代表的なのが“モビッツⅡ型2度房室ブロック”。
洞不全症候群(SSS)と見た目が似ることがあって、最初は区別が難しいこともあるんだ。

へぇ〜! 洞不全症候群(SSS)のいろんなタイプと、モビッツⅡ型との違い……
これはどっちも気になる!

そうだね。
じゃあ次は、“SSSのタイプ”と“モビッツⅡ型との比較”、どちらからでもいいから順番に見ていこうか。

おつかれさまでした〜!
SSSって聞くだけでドキッとしちゃうけど、落ち着いて整理してみると“怖いだけじゃなくて、ちゃんと特徴と対応がある”ってことがわかりましたね。
今回のポイントはしっかり押さえられましたか?
波形だけに慌てず、“まずは患者さんのところへ行く”っていう姿勢を忘れずにいきましょう。


こんにちは!
看護師歴12年目、現役循環器ナースのどんどんです。
このブログでは、心電図が苦手な看護師さん向けに、心電図の参考書を読む前の参考書をコンセプトに1記事10分程度で読めるように、やさしく・わかりやすく解説しています!
さて、今回は「洞不全症候群(SSS)」
をテーマに解説していきます!