この記事では、杉山裕章先生の本『心電図のみかた、考え方』を参考にして進めていくよ。
目次

サイナスく〜ん、12誘導心電図って、ほんっとわかんないんだけど〜!
どうにかしてよ〜!

まぁ、確かに12誘導は急にレベル上がる感じあるもんね。
初心者のうちは、全部を理解しようとするのは正直きついよ。

じゃあじゃあ、ポイント絞って教えてくれる?

もちろん!焦らなくて大丈夫。まずは大事なとこだけ押さえていこうか。
どんなときに12誘導をとるの?

病棟で12誘導心電図をとるときって、どんなときが多いと思う?

んーと……患者さんが『胸が痛い』とか『胸が締めつけられる感じがする』って言ったとき?


そうそう、その通りだよ。
実際、12誘導をとる目的はいろいろあるけど、病棟の看護師として特に覚えておいてほしいのは“胸痛時の12誘導”なんだ。

なんで胸が痛いときに、12誘導心電図をとるの?

それはね、胸痛って原因がたくさんあるけど、その中でも特に“見逃しちゃいけない”重大な病気があるからなんだ。

えっ、どんなの?

心筋梗塞とか狭心症といった“冠動脈疾患”だよ。
この2つは、心臓に栄養を送る血管(冠動脈)が詰まったり狭くなったりする病気で、命にかかわるんだ。


そ、それは確かにヤバい……。見逃せないね……

でしょ?
だから、胸痛があるときには“今、心筋梗塞が起きてるかどうか”を早く見極めなきゃいけないわけ。

でも、それって12誘導でどうやってわかるの?

いい質問!
心筋梗塞や狭心症のときには、12誘導心電図に特徴的な波形の変化が出るんだよ。

特徴的な波形……?

そう。“ST変化”って呼ばれるやつ。
たとえばST上昇とかST低下とかね。これが冠動脈のトラブルを示してるサインなんだ。

なるほど〜!それでまずは12誘導をとるのね!
ちょっとだけ……わかってきた気がする!
どんなときに12誘導をとるの?
🔹 12誘導心電図をとるタイミング
→ 特に重要なのは「胸が痛い」「胸が締めつけられるように苦しい」と訴えたとき!
🔹 なぜ胸痛で12誘導?
→ 胸痛の原因にはたくさんのパターンがあるけど、見逃しちゃいけないのが「心筋梗塞」や「狭心症」などの冠動脈疾患。
→ 命にかかわるため、迅速に判断する必要がある!
🔹 どんな波形の変化が出るの?
→ ST変化(ST上昇、ST低下など)が現れることがある。
これが「心筋に血が足りていない」というサインになる。
モニター心電図と12誘導って何が違うの?

12誘導をとる意味はわかったんだけど……
いつもつけてる心電図モニターじゃ、ダメなの?あれでも波形見えてるよね?


うん、いいところに気づいたね。
たしかに、病棟で使っているモニター心電図は“連続で波形を観察する”のにすごく便利なんだ。
でも――実は、見えてる範囲が限られてるんだよ。

限られてる……?

そう。病棟で使ってるモニター心電図って、通常は“Ⅱ誘導”だけを表示してることが多いんだよね。
モニター誘導”って呼ばれたりもするけど、実際には1つの方向からの波形をずっと見てるだけなんだ。

そうなんだー……! 初めて知ったよ、びっくり……!

そうそう。でも、12誘導心電図は心臓をいろんな角度から同時に見る検査なんだ。
言ってみれば、モニターは“正面だけの監視カメラ”、
一方で、12誘導は“ドローンを使って心臓を360度、いろんな方向から観察してるような感じ”だよ。


うわっ、全然ちがう!

たとえばね、心臓の下の壁にある梗塞ならモニター(Ⅱ誘導)で見えるかもしれないけど、
モニターで見てる誘導に出てこなければ、見逃しちゃう可能性が高いんだ。

それって……こわっ……

だから、12誘導で全体をしっかりチェックすることで、
重大な異常を見逃さないようにするんだよ。

なるほどね……
モニターはずっと見てられるけど、あくまで“一部”しか見てないってことか〜

うん。
モニターと12誘導、どっちも大事だけど役割が違うんだ。
ちゃんと使い分けてこそ、現場の対応力が上がっていくんだよ。

了解しましたっ、サイナス先輩っ!
モニターと12誘導って何が違うの?
🔹 モニター心電図は、リアルタイムで“ずっと”波形を見ていられるのが強み!
でも、表示されるのは基本的に1つの誘導(たとえばⅡ誘導)だけ。
つまり、心臓の一方向からしか見ていないってこと。
🔹 一方で、12誘導心電図は、いろんな方向から心臓を一気にチェックできる検査!
まるでドローンで心臓を360度から観察してるような感じ。
🔹 だから――
モニターは「監視カメラ」、
**12誘導は「立体スキャン」**みたいな役割!
🔹 胸痛があるときなど、重大な異常を見逃さないためには12誘導が必須。
“今”の状態を見たいときはモニター、
“全体を評価”したいときは12誘導――目的に合わせて使い分けることが大事!
モニターと12誘導の比較表
項目 | モニター心電図 | 12誘導心電図 |
---|---|---|
見える範囲 | 一方向のみ(例:正面) | 多方向(上・横・下など) |
表示される誘導 | 通常はⅡ誘導のみ | 全12誘導を同時に記録 |
特徴 | リアルタイムで波形を監視できる | 全体を一気にチェックできる |
役割のイメージ | 監視カメラのような存在 | ドローンで360度から観察 |
使う目的 | 継続的な状態の監視 | 心臓全体の評価・診断 |
胸痛時の対応 | 異常の兆候は見えるが、全体像は不明 | ST変化など重大な異常を見逃さない |
ST変化って何?

というわけで、胸痛があるときはまず12誘導。
ST変化があるかどうかが、すごく大事なポイントになるんだ。

ST変化って……なんとなく聞いたことあるけど、ちゃんとはわかんないな〜。

よし、じゃあ次はその“ST変化”について、じっくり見ていこうか!

12誘導心電図をとる意味を理解して、ちょっと成長したエーエフちゃん。
でも、波形の“変化”を見逃さないためには、もうひとつ大事なポイントが。
次は「ST変化」について、いっしょに学んでいこう!
こんにちは!
看護師歴12年目、現役循環器ナースのどんどんです。
このブログでは、心電図が苦手な看護師さん向けに、やさしく・わかりやすく解説しています!
今回から、いよいよ「12誘導心電図編」がスタート!
そして最初に正直に言っておきます。
12誘導心電図は――普通に難しいです。
だから、
でも、大丈夫。
このシリーズでは、いきなり“読めるようになる”ことは目指しません。
まずは、
この2つにしっかり絞っていきます。
今回のテーマは、
「なぜ、胸痛のときに12誘導心電図をとるのか?」
エーエフちゃんとサイナスくんと一緒に、楽しく学んでいきましょう!