こんにちは!
看護師歴12年目、循環器ナース歴9年目のどんどんです。
この記事は、心電図が苦手な看護師さん向けに、VTという“ちょっと怖そうな波形”をやさしく解説します。
参考書を見て「難しすぎて無理かも」と感じた方に読んでほしい内容です。
そんな VT について、こんなふうに思ったことはありませんか?
- VTって、どうして“危ない波形”って言われるの?
- どう見分ければいいの?
- 見つけたらどうすればいいの?
と、不安になりますよね。
でも大丈夫!
この記事では、そんな疑問を、やさしく、ゆるく解決していきます!
目次
心室頻拍(VT)ってなに?
心室頻拍(VT)は、心室が洞結節の指示を無視して、めちゃくちゃ速く連続で動いちゃう不整脈です。
つまり…
心室が自分勝手に動いて、効率の悪いポンコツ収縮を繰り返す状態。
血液もうまく送り出せなくなるので、放っておくと危ない不整脈なんです。

急にドドドドってリズムになってて、これヤバいやつじゃない…?

それはヤバいやつですね。ガイドラインでも、PVCが3連発以上でVTって定義されてますし、注意が必要ですよ。
VTの見た目の特徴はこの3つ!

VTの波形は、パッと見ても普通の波形とはちょっと違います。
初心者でも分かりやすいポイントは以下の3つ!
- 幅広のQRS波
- RR間隔が規則的
- QRS波の高さも同じくらい
心室のどこか一か所が、「もう待てない!」って暴走を始めると、
同じような形・間隔の幅広QRS波がずっと続くようになります。
これは、心室が勝手に指揮をとって暴走してるサインなんです。
たとえて言うと、こんな感じです。

俺が勝手に動く!ついてこい!

待って待って!勝手に動かないでください!私がリズム出す担当なんですから!
…こんな感じで、洞結節の命令を待たずに心室が勝手に動いてしまう。
それが「心室頻拍(VT)」の正体です。

ひぃ〜、暴走とか聞いただけでドキドキしてくるんだけど…なんで私の担当の時に限って出るのよ〜!

それだけよく出る波形ってことです。だからこそ、ここで覚えておくとすごく役に立ちますよ。
見つけたらどうする?
VTのような波形を見つけたとき、**“波形を判断する前に”**まずやることがあります!
① まずは患者さんを見に行く!
- 意識ある?
- 呼吸してる?
- 顔色どう?
心電図より本人を優先!
急変している可能性もあるので、何より先に観察に行きましょう。
② 症状がなければノイズをチェック!
- パッチが浮いてない?
- 胸を触った直後じゃない?
- ケーブルの接触は?
アーチファクト(ノイズ)でVTっぽく見えることもあるので、本物かどうか冷静に確認です。
③ 急変ならすぐコール!
- 脈があるVTか
- 脈がないVTかで、治療や対応が変わります。
急変マニュアルを頭に思い浮かべて、すぐに対応できるように準備しておきましょう!

え、これVTっぽいかも?でも自信ないし、どうしよう…

波形だけで判断せず、まずは患者さんの様子を見に行くのが基本です。落ち着いて対応すれば大丈夫ですよ。
実際の波形は…ぴったり同じじゃないことも?

ここまで「RR間隔が規則的」「QRS波の高さが同じくらい」と説明しましたが、
実際のVT波形(特にVT連)では、少しバラついて見えることもあります。
- RR間隔が微妙にズレていたり
- QRS波の高さにちょっと差があったり
でも大丈夫です。
「完璧に揃ってる」じゃなくて、
「だいたい揃ってるな~」で十分!
心室がひとりでテンポよく打ち続けてるような波形を見たら、VTの可能性を考えましょう。
まずは患者さんの様子を確認です!
ちょっと紛らわしい波形もあるんです…

VTそっくりの波形を見て、「これは本物のVT…?」と不安になることもあります。
でも、近づいてみたら――
\ 歯みがきしてた /
なんてことも!
このように、不規則だけどVTに見える“なんちゃって波形”、
いわゆる**「はみがきVT」**が出ることもあります。

やばっ!VTかと思って慌てて見に行ったら…歯みがき中でした〜って!もう、びっくりさせないでよ〜!

でも、その判断力が大事なんです。何より、まず患者さんを見に行く行動は大正解ですよ。
今回のまとめ
VTとは?
心室が洞結節の指示を無視して、自分勝手に暴走してしまう不整脈のこと。
全身に血液を送れなくなる危険があるため、致死性不整脈に分類されます。
見た目の特徴はこの3つ!
- 幅広のQRS波
- RR間隔が規則的
- QRS波の高さもおおむね一定
→ 心室のどこか一か所が、「もう待てない!」とリズムを勝手に刻み始めてしまった状態です。
見つけたらどうする?
まずは波形を確認する前に患者さんの様子を見に行くのが最優先!
・元気そう → ノイズの可能性も。
・ぐったりしてる → 急変かも!すぐに対応を!
実際の波形はぴったりじゃないことも?
・教科書のような綺麗なVT波形じゃないこともあります。
・ちょっと乱れたVTっぽい波形もよくある!
ちょっと紛らわしい波形もあるんです…
VTかと思ったら「歯みがき中だった」なんてことも!
これ、**“歯みがきVT”**って呼ばれたりします。

VT…覚えたけど…あんまり会いたくないなあ…

でも、会ったときに備えて知っておく。それがプロの姿勢ですよ!
今回もおつかれさまでした!
完璧じゃなくて大丈夫。
ひとつずつ覚えていきましょう!