この記事では、大島一太先生の本『これならわかる心電図の読み方』を参考にして進めていくよ。
目次

ねぇサイナスくん、心房細動って、どう見ればわかるの?

ふむ、まずは見分け方からだね。

あとさ、心房細動になると何が悪いの?

それは心臓の動きや血流に影響するんだ。詳しくは後で説明するよ。

じゃあさ、もしなったらどう対応すればいいの?

よし、その3つの疑問に順番に答えていこう。まずは“どう見ればわかるのか”から始めようか。
心房細動を見つけるポイントはこの3つ

心房細動を判別するには、まずこの3つのポイントをチェック!
① P波が見えない!
→ QRSの前にあるはずの小さな山(P波)が消えています。
「なんか、前にちょんってあるやつが見えない…?」
と思ったら要注意!
② RR間隔がバラバラ!
→ リズムが不規則で、間隔がバラバラになっています。
“ずれてる”“揃ってない”という感覚を持てたら◎!
③ f波が見られることもある
→ 基線が**細かくプルプル震えているような“f波”**
が見えることがあります。
ただし、必ずしも見えるわけではないので、
①②がより重要です!

ふむふむ…P波が見えなくて、RR間隔がバラバラ。で、たまにf波が見える…ってことね。

そう。特に①と②がそろってたら、かなり心房細動の可能性が高い。

なるほど…でも、P波って他の波形でも見えにくいときあるよね?

確かに。だから“P波がない”だけで判断するんじゃなくて、“RR間隔がバラバラ”かどうかをセットで見るんだ。

OK!じゃあP波とRR間隔はペアでチェックって覚えておくよ。

その調子。あとは慣れてくると、“あ、なんかこのリズム落ち着かないな”って感覚でわかるようになる。

へぇ〜…その“感覚”ってやつ、早く身につけたいな。
P波に見える“何か”があっても安心しないで!

心房細動なのに、**「あれ?P波っぽいのがあるような…?」**と思うこともあります。
でもそれ、実は**P波ではなくf波(細動波)**の一部かもしれません!
- 心房細動では、心房が細かく震えているため、
基線に小さな波やもやもやが見えることがあります。 - 中には、P波みたいに見える大きめのf波が混じっていることも。
そんなときは、“P波っぽいから洞調律だ!”と早とちりせず、
**「RR間隔がバラバラじゃないか」「PQ間隔は毎回そろっているか」**も合わせて確認しましょう!

見た目だけで決めつけると、見落としにつながりますよ!
“リズムの乱れ”にもちゃんと目を向けてくださいね。
心房細動はどのくらい多いの?

心房細動は、現場で洞調律の次に多く見られる波形です。
実際、2024年12月から2025年3月までのモニター波形の統計を取ると、
約20%前後が心房細動でした。
つまり、心房細動を読めるようになれば、
「波形が読めるようになった!」と感じられるチャンスがぐんと増えます。
心房細動になると何が悪いの?
① 血栓ができやすくなる
心房がプルプル震えるせいで、
**血液が滞り、血栓(血のかたまり)**
ができやすくなります。
② 血栓が飛んで重大な合併症に
- 脳に飛べば → 脳梗塞
- 肺に飛べば → 肺塞栓
命に関わるトラブルを引き起こす可能性があります。
③ 心臓のポンプ機能が下がる
心房がうまく働けず、心室に血液を送り出せないため、
全体として心臓の働きが約20%低下してしまうとも言われています。
ただ波形が乱れてるだけじゃありません。
心房細動になると、体の中で深刻なことが起き始めます。

うわ…血栓って、あの血のかたまりのことだよね?それが脳とか肺に飛んじゃうなんて…怖すぎる…!

そう。心房細動で一番怖いのは、その血栓が重大な合併症を引き起こすことなんだ。

しかも心臓の働きも20%も下がるって…それ、ずっと続いたら大変じゃない?

うん。症状が出ていなくても、放っておくと体への負担は確実に大きくなる。だから、早く見つけて対応することが大事なんだ。

そっか…じゃあ、もし見つけたらすぐ報告しないとだね!

その通り。心房細動は“見つけて終わり”じゃなくて、“見つけたら即対応”が鉄則だよ。
心房細動を見つけたらどうする?
① まず確認するのは「今までもAFだったかどうか」
- 慢性的にAFがある方なら、慌てて対応する必要はありません。
→ そのままバイタルや症状を確認し、経過観察でOKなケースが多いです。 - ただし、“今回が初めて”や“急に出現した”場合は要注意!
→ 血栓のリスクが上がるので、しっかり報告と対応が必要です。
② 症状の有無をチェック
- 動悸、息苦しさ、胸の不快感がないか確認
- バイタル(血圧・脈拍・SpO₂・意識)を測定
③ 医師に報告
- 心電図の特徴(P波なし、RR不整など)
- バイタルと症状の有無
- 何か治療を始めるか確認
④ 治療の基本は「血栓を作らせないこと」
- 抗凝固薬(ワーファリン、リクシアナなど)や
- ヘパリンの点滴などが選ばれることが多いです。
状況によっては…
- **「心拍数をゆっくりにする薬」**でリズムを落ち着かせたり、
- **「元のリズムに戻す治療」**を行うこともあります。
モニターでAFらしき波形を見つけたら、
慌てず落ち着いて、上の図の流れで確認と報告をしていきましょう。

ふむふむ…つまり、ずっとAFの人はそんなに慌てなくていいけど、初めてとか急に出た場合はすぐ報告ってことだね。

そう。特に初発や急性発症は血栓のリスクが上がるから要注意だよ。

症状の確認とバイタル測定も忘れずに…っと。で、その結果と波形の特徴を医師に報告する、と。

うん、それでOK。あとは医師の指示で治療が始まることが多いけど、基本は“血栓を作らせないこと”が目的だ。

抗凝固薬とかヘパリンだよね?あと心拍を落ち着かせる薬とか、元のリズムに戻す治療もあるって聞いたことある。

その通り。状況に応じて選ばれるけど、何よりも大事なのは“気づいてすぐ対応する”ことだよ。

了解!じゃあ次は、AFを見つけたときにパッと判断できるように練習だね。
今回のまとめ
- 心房細動は洞調律の次に多く、全体の約20%
- 見つけるポイントはこの3つ:
① P波がない
② RR間隔がバラバラ
③ f波が見えることもある(でも①②が大事) - 放っておくと…
→ 血栓 → 脳梗塞・肺梗塞のリスク
→ 心機能が低下して全身に影響が出ることも - 見つけたら:
→ 慢性か新規かを確認 → 症状&バイタル → 医師に報告
→ 基本は血栓予防の薬+必要に応じてリズム調整

よし!AFの見つけ方と対応、覚えたよ!

うん。“見つけたらすぐ動く”が一番大事だ。

P波なし、RRバラバラ…見たら即報告だね。

その通り。あとは慣れるだけだよ。
おわり

今回はここまで!おつかれさまでした〜
完璧じゃなくていいんです。ゆっくり覚えていきましょう!


こんにちは!
看護師歴12年目、現役循環器ナースのどんどんです。
このブログでは、心電図が苦手な看護師さん向けに、やさしく・わかりやすく解説しています!
今回は、洞調律の次によく出てくる波形で、現場でもかなりの頻度で見かける不整脈のひとつ 「心房細動(しんぼうさいどう)」 についてお話しします。