この記事では、杉山裕章先生の本『心電図のみかた、考え方』を参考にして進めていくよ。
目次

ねえ、サイナスくん。ST変化ってよく聞くけど、結局それって何なの?

ST変化っていうのはね、一言でいうと“電位の基準線”からST部分が高くなったり低くなったりしている状態のことなんだ

……一体何を言ってるの?……

あ、ごめんごめん。じゃあ、もっと簡単に説明していくね。
ST部分ってどこなの?


エーエフちゃんは、この図のどこがST部分なのか分かる?

分かりませんっ!

即答だね〜。ST部分っていうのはね、“S波の終わり”から“T波の始まり”までの区間のことを言うんだ


なるほど、この部分がSTなんだね

ただ、この図2だと”S波の終わり”が分かりやすいんだけど、実際の波形では”S波の終わり”がはっきりしないこともあるんだよ

えっ、それはちょっと困るね……
どこがS波の終わりなの?


この図3を見てみて。どこがS波の終わりか分かる?

うーん……わからないなぁ

そうなんだよね。だからST部分を見つけるのって、意外と難しいんだ

じゃあ、こういうときはどうすればいいの?

そんなときは、S波の“鋭い波”から“なだらかなカーブ”へ移る境目を終わりの点と考えるんだ。この点を“J点”って呼ぶんだよ
ST変化の入口は“J点”から


J点……?

J点っていうのはね、“Junction”の頭文字Jで、つなぎ目という意味があるんだ

なるほど。このつなぎ目が、ST部分を見つけるときの基準になるんだね

その通り。このJ点が、ST変化を見つける上での大事な目印になるから、まずは必ず覚えておいてね

はい、わかりました!
今回のまとめ

J点を正しく見つけられれば、ST変化の判定はぐっと正確になるよ。ここはしっかり押さえておこう!
まとめ
- ST部分は「S波の終わり」から「T波の始まり」までの区間を指す。
- S波の終わりが分かりにくい場合は、鋭い波からなだらかなカーブへの移行点を探す。
- この移行点をJ点と呼び、ST変化を判断する際の重要な目印となる。
- ST変化の正しい判定には、まずJ点を正しく見つけられることが第一歩。
ST変化を測る物差し ― 電位の基準線とは?

ST部分は分かったけど……STが高いとか低いって、何と比べて言ってるの?

いい質問だね。それを判断するときに使うのが、“電位の基準線”なんだ

電位の基準線……?

じゃあ次は、このSTが高いか低いかを判別するための基準線について話していくね

今回は、ST変化を判定する第一歩として“ST部分”の見つけ方をお話ししました。
でも、ST部分が分かっても、何と比べて高い・低いを判断するのかが分からなければ、正確な判定はできません。
次回は、その答えとなる“電位の基準線”について、わかりやすく解説していきます。お楽しみに!
こんにちは!
看護師歴12年目、現役循環器ナースのどんどんです。
このブログでは、心電図が苦手な看護師さん向けに、**「心電図の参考書を読む前の参考書」**をコンセプトに、1記事5分程度で読めるよう、やさしく・わかりやすく解説しています!
今回は、**ST変化を正しく判定するために欠かせない「ST部分」についてお話しします。