循環器ナース歴9年のどんどんです。
このブログは、
- モニター心電図に自信が持てない看護師さん
- 心電図の勉強がなかなか続かなかった看護師さん
- 現場で役立つ心電図を学びたい看護師さん
のためのブログです。
この記事では、
洞調律の基本から見分け方までを、やさしくまとめています。
まずは、洞調律を見分けるための大事なポイントを3つだけ、
サクッと確認していきましょう。
そのあとで、
QRS波の向き(高さ)や、脈の速さについても触れていきます。
「今知りたいところだけ読みたいな〜」という方は、
目次から気になる項目を選んで読んでくださいね。
目次
- ①洞調律を見分ける3つのポイント!
- ②QRS波の高さ・低さは、気にしなくていいの?
- ③QRS波が下向き…これって大丈夫?
- ④T波が下向き…これって大丈夫?
- ⑤洞調律だけど脈が遅い?洞徐脈の考え方
- ⑥洞調律だけど脈が早い?洞頻脈の考え方
- ⑦洞調律に見えるけどRR間隔がバラバラ?洞不整脈の考え方
①洞調律を見分ける3つのポイント!

洞調律は、“正常な心電図波形”としてもっとも基本となるリズムです。
現場でよく見かける「心臓がちゃんと動いている状態」のお手本のような波形です。
| チェックポイント | 内容 |
|---|---|
| P波がある | 心房がちゃんと動いている |
| RR間隔が一定 | リズムが安定している |
| PQ間隔が5マス(0.2秒)以内 | 心房→心室への電気の流れがスムーズ |
この3つがそろっていれば、まずは「洞調律でOK!」と考えて大丈夫です。
さらに基本として、P波・QRS波・T波は“上向き”に出ていることも大切なポイントです。

とくにモニター波形やⅡ誘導で見るときは、ここを意識してね!
ここが基本!洞調律の波形

この波形がいわゆる“洞調律”。
P波 → PQ間隔 → QRS → T波の流れが整っていて、RR間隔も一定です。
※RR間隔って、毎回ピッタリ同じじゃなくても大丈夫です!
少〜しズレてることがあっても、全体的にリズムがそろっていればOK。
「だいたい一定かな?」くらいで見てあげましょう〜。
洞調律ってざっくりいうと?
“洞結節から出た電気信号が、スムーズに心室へ伝わって、リズムよく動いている状態”のこと。
もっとわかりやすく言うと、
心臓にはリーダー的存在の「洞結節(どうけっせつ)」ってのがいて、 こいつが「トン、トン、トン」って指示を出してるのが洞調律。
つまり、「ちゃんと指揮者がいて、音楽隊がリズム通りに演奏してる」みたいなイメージです。
この“いつもどおりのテンポ”が保たれているってことが、心電図ではものすごく大事なんです。

洞調律は、現場でいちばんよく出会う波形だよ。
だいたい全体の45%くらいを占めてるんだ。
洞調律の「正常値」って、実はたくさんある…
教科書的には、洞調律に関する正常値ってこんなにあります。
- P波の幅(0.75mm未満)、高さ(2.5mm未満)
- QRS波の幅(2.5mm以下)
- T波の形(左右対称)
- PR間隔(3〜5mm)
- RR間隔(3〜5マス)
- QT時間(0.36〜0.44秒) など…

ちょっと待って!?多すぎでしょ〜!こんなの全部覚えるなんて絶対無理〜〜!

安心してください。まずは「P波がある・RR間隔が一定・PQ間隔が5マス以内」だけ覚えればOKです。
洞調律の見分け方をおさらい
洞調律は「基本」だからこそ大事!
洞調律がわかれば、他の波形との違いにも気づきやすくなります。
だからこそ、“まずは洞調律をマスターする”のが心電図学習の第一歩です。
- P波がある
- RR間隔が一定
- PQ間隔が5マス(0.2秒)以内
この3つがそろっていれば、見た目が多少違っても「洞調律かも?」って思えるようになりますよ。
②QRS波の高さ・低さは、気にしなくていいの?

洞調律の見分けるポイントは分かったけど、
実際に波形を見ていると、こんな疑問が出てきませんか?



QRS波が高すぎる時と、低すぎる時があるけど…これって大丈夫?
こんな波形でも、洞調律って言っていいの?
結論からお伝えします。
QRS波の高さ・低さは気にしなくてOK!
洞調律かどうかを判断するうえで、
QRS波の高さ・低さは、そこまで気にしなくて大丈夫です。
QRS波が高くても、低くても、
洞調律を見分ける3つのポイントを満たしていれば、
洞調律と判断してOKです。
QRS波の高い・低いは何の意味があるの?
一応、教科書的にはこんなことが言われています。
QRS波が高い場合
- 心臓に負荷がかかっている
- 大動脈弁や僧帽弁が狭くなっている(狭窄)
- 弁がうまく閉じていない(逆流)
QRS波が低い場合
- 心不全などで心臓の動きが弱い
- 胸水や心のう液がたまっている可能性
…などが示唆されることがあります。
ですが、正直なところ、
モニター心電図だけで、そこまで判別するのは難しいです。
QRS波の高さや低さは、
- 電極の位置
- 体格
- 体の向き
などの影響も受けやすく、
「高い・低い=病気・危険」と単純に判断できません。
なので、現場ではこう考えてOKです。
- QRS波が高くても
- QRS波が低くても
👉 洞調律を見分ける3つのポイントを満たしていれば、洞調律

QRS波の高さに目がいきがちだけど、
まずは“洞調律の条件”を満たしているかを見るのが大事だよ。
③QRS波が下向き…これって大丈夫?

モニターを見ていると、
QRS波が下向きに出ている波形を見かけることがありますよね。


これって何の波形?
大丈夫なの?
と不安になるポイントだと思います。
まず結論から。
QRS波が下向きでも、問題なし!
👉 QRS波が下向きでも、特に問題はありません。
- P波がある
- PQ間隔が5マス以内
- RR間隔が一定
この3つのポイントを満たしていれば、
洞調律と判断してOKです。
QRS波が下向きな波形の正体は「QS波」
QRS波が下向きに出ている波形は、
QS波と呼ばれます。
これは、
過去に心筋梗塞を起こしていたこと
を示す所見です。
医師のカルテには、
「陳旧性心筋梗塞」
と書かれていますね。
QS波=今すぐ対応が必要?
QS波は、
どの領域に心筋梗塞があったか
を推測するための重要な所見
ではありますが、
👉 今すぐ何か処置をするかというと、特にはありません。
そのため、
対応としては様子見になります。
ただし、看護師として知っておきたいこと
QS波があるということは、
👉 すでに心筋梗塞を経験している
👉 心臓の機能が低下している
ということでもあります。
なので看護師としては、
- 退院指導
- リハビリ介入
などを行うときに、

この患者さんは、心機能が低下している可能性がある
という前提で関わることが大切です。

洞調律を判断するときは、QRS波の向きより
“洞調律の条件を満たしているか”が大事だよ。
④T波が下向き…これって大丈夫?

洞調律に見えるけど、
T波が下向きになっていると、

これって大丈夫なの?
と不安になりますよね。

結論から言うと、
慢性的にT波が下向きなら、気にしなくてOK!
です。
洞調律で、
- リズムも安定している
- 症状もない
このような場合は、様子見になることがほとんどです。
なぜT波が下向きになるの?
T波が下向きになる原因として、よくあるのが
過去の心筋梗塞
です。
既往歴に心筋梗塞があったり、
「病院嫌いでずっと受診していなかった」という方だと、
知らないうちに心筋梗塞を起こしていた
というケースもあります。
こうした場合、すでに慢性期に入っているため、
特別な対応はせず様子見になることがほとんどです。
要注意なのは「T波が変化したとき」
気をつけたいのは、こちら👇
- 今までは上向きだったT波が
- 新しく下向きに変わった
- さらに胸の痛みなどの症状がある
この場合は、
- 急性心筋梗塞
- 肺塞栓
などの可能性があり、注意が必要です。
こういうときは、すぐ対応しよう
T波の変化+症状がある場合は、
- 12誘導心電図をとる
- すぐに医師へ報告・確認
この流れで対応しましょう。
T波が下向きなときの考え方
整理すると、こんな感じです👇
- 慢性的にT波が下向き
👉 様子見 - T波が新しく下向きに変化+症状あり
👉 要対応・医師へ報告

T波そのものより、“前と比べて変わったかどうか”が大事だよ。
⑤洞調律だけど脈が遅い?洞徐脈の考え方

洞調律を見分ける3つのポイントは満たしている。
でも……

脈拍が40台だけど、これって大丈夫なの?
と不安になること、ありますよね。
これは徐脈、洞調律なら「洞徐脈」です。

まず用語を整理します。
- 脈拍数が60回/分未満 → 徐脈
- 洞調律で徐脈になっている状態 → 洞徐脈
教科書的には「60回/分未満」が徐脈ですが、
現場では 50回/分を下回ると指示に引っかかる ことも多いですよね。
いちばん大事な結論から。
症状のない洞徐脈は、様子見になることが多い
これは臨床ではよくある判断です。
なぜ寝ていると脈が遅くなるの?
特に多いのが、夜間・睡眠中の徐脈です。
寝ているときは、
体を休ませるときに働く
👉 副交感神経
体を動かすときに働く
👉 交感神経
このうち、副交感神経が優位になります。
そのため、
夜間は脈が遅くなりやすい傾向があります。
なので、
- 夜間(眠っている)
- 洞調律
- 症状なし
であれば、特に問題にならないことが多いです。
ただし、施設ルールは必ず守ろう
病院や病棟によっては、
「脈拍が◯◯回/分以下なら必ず報告」
という決まりがあると思います。
その場合は、
👉 症状がなくても、ルール通りに報告してください。
また、
- 眠っていると脈が下がる
- いつも脈拍が40台になる
と分かっている場合は、
あらかじめ指示を変更してもらうと夜勤が楽になります。
症状のある徐脈に注意!
本当に気をつけたいのは、こちらです👇
普段よりも急に脈が遅くなった!
この場合、
- 低血圧
- めまい
- 嘔気・嘔吐
- 息切れ
の症状が出ることがあります。
ひどい場合には、
- 失神
- けいれん
などが起こることもあり、
対応が必要な徐脈です。
症状のある徐脈、原因は?
症状を伴う徐脈の原因としては、
- 新しく始めた薬(β遮断薬など)
- 洞不全症候群
- 高カルシウム血症 など
他の疾患や薬剤が関与していることもあります。
👉 この場合は、医師への報告が必要です。
心拍数が40以下のときは注意!!
心拍数が40回/分以下のときは注意が必要です。
一見、洞徐脈に見えても実は、
- 3度房室ブロック
- 洞不全症候群
といった別の不整脈が隠れている可能性があります。

ちょっと判断に迷うな…
と思ったら、
👉早めに先輩ナースや医師に確認するようにしましょう。
洞徐脈はどう判断する?
最後に整理します
- 3つのポイントを満たしていれば
👉 洞調律 - 洞調律+徐脈
👉 洞徐脈 - 症状のない洞徐脈
👉 様子見になることが多い - 症状のある徐脈
👉 対応・報告が必要

脈が遅い=すぐ危険、じゃないよ。
大事なのは“症状があるかどうか”だね。
⑥洞調律だけど脈が早い?洞頻脈の考え方

洞徐脈と同じように、

3つのポイントは満たしているけど、脈が早い…これってどうなの?
と思うこと、ありますよね。
まず結論ですが、
脈が早くても、条件を満たせば洞調律
です。
そして、
- P波がある
- PQ間隔が5マス以内
- RR間隔が一定
この3つのポイントを満たしていて、
心拍数100回/分以上
この状態を、洞頻脈と呼びます。

頻脈を見たら、まず考えること
洞頻脈を見たときに大事なのは、
👉 「なぜ脈が早いのか?」を考えること
です。
- もともと心拍数が100〜110回/分くらい
- いつも同じくらいの頻脈
- 症状がない
この場合は、様子見になることが多いです。
普段より明らかに早いときは要チェック!
普段は心拍数が60〜80回/分なのに、
急に頻脈になっている場合は、
何か原因があることがほとんどです。
よくある原因は👇
- 低血圧
- 貧血
- 痛み
- 発熱
- 痰がらみ
- 体位が不快
など。
👉 まずは、原因を探して取り除くことが大切です。
心拍数が140以上のときは注意!!
心拍数が140回/分以上になると、
洞頻脈に見えても実は、
- 発作性上室性頻拍(PSVT)
- 心房粗動(AFL)
といった別の不整脈の可能性も出てきます。

ちょっと自信がないな…
と思ったら、
👉 先輩ナースや医師に確認しましょう。
原因を取っても頻脈が続くときは?
主な原因を取り除いても、
- 心拍数がかなり早いまま
- 患者さんがつらそう
という場合は、
抗不整脈薬の投与など
何らかの対応が必要になることもあります。
洞頻脈はどう判断する?
整理すると👇
- 3つのポイントを満たしていれば
👉 脈が早くても洞調律 - 洞頻脈を見たら
👉 まず原因を考える - 心拍数140以上
👉 他の不整脈も疑う - 迷ったら
👉 早めに相談・確認

脈が速いときは、波形だけじゃなくて、
“どうして速いのか”を考えてみてね。
⑦洞調律に見えるけどRR間隔がバラバラ?洞不整脈の考え方

P波はあるし、PQ間隔も5マス以内。
でも……

RR間隔がやや不規則……
これって洞調律なの?
そんなふうに迷う波形、ありますよね。
これは「洞不整脈」という波形です


不整脈ってことは、洞調律じゃないってこと?
と思ってしまいがちですが、洞不整脈は洞調律の一つになります。
洞調律には、次の4つがあります。
- 正常洞調律
- 洞徐脈
- 洞頻脈
- 洞不整脈
現場では、これらはまとめて
👉 「洞調律」
と表現することがほとんどです。
(※心電図検定では、きちんと分けて考えます)
洞不整脈って、問題あるの?
結論から言うと、
洞不整脈は、特に問題ないです。

どうしてRR間隔がバラバラになるの?
洞不整脈のRR間隔が不規則になる理由は、
呼吸のリズムにあります。
- 息を吸うと、脈が少し速くなる
- 息を吐くと、脈が少し遅くなる
そのため、
患者さんの呼吸のリズムと心電図を見比べると、だいたい同じリズムになります。

洞不整脈は、いつ見られやすいの?
この波形は、洞徐脈と同じく、
睡眠中
によく見られます。
眠っているときは呼吸が深くなり、
その呼吸リズムと心拍がリンクしやすくなるんですね。
洞不整脈はどう判断する?
整理すると、こんな感じです👇
- RR間隔がやや不規則
- P波あり
- PQ間隔も正常範囲
👉 これは洞不整脈
👉 洞調律として判断してOK
👉 対応は基本的に様子見で大丈夫

RR間隔が少し不規則でも、
呼吸と一緒に変わっているなら洞不整脈だよ。

今回はここまで!おつかれさまでした〜
完璧じゃなくていいんです。ゆっくり覚えていきましょう!



























