これまでこのブログでは、心電図についていろいろとお話ししてきました。
でも今回はちょっと心電図から離れて、「緩和ケア」についてお話ししていきたいと思います!
というのも、僕は2025年12月から緩和ケア病棟に異動しました。
実際に働いてみると、「そうだったんだ!」と新しく学ぶことがたくさんあります。
せっかくなので、緩和ケア病棟で僕自身が学んだことも、このブログで少しずつ分かりやすくお伝えしていこうと思います!
そして今回のテーマは、「痛み止め」です。
できるだけ難しい言葉を使わずに説明していきますね!
それでは、いってみましょう!
目次
- 緩和ケアでは「痛みをやわらげる」ことが大切!
- 痛み止めにはどんな薬があるの?
- 非オピオイドってなに?
- 痛みを感じる仕組みを簡単に学ぼう!
- NSAIDsは「痛みの原因がある場所」で働く
- アセトアミノフェンは「脳」で働く
- オピオイドってなに?
- オピオイドは「痛い!」が伝わるのを弱める
- オピオイドを使ったら他の痛み止めはいらない?
- 今回のまとめ
緩和ケアでは「痛みをやわらげる」ことが大切!

がんの患者さんが抱える大きな悩みの一つが「痛み」です。
皆さんも一度は、頭が痛い、お腹が痛い、腰が痛いなどの「痛み」を経験したことがあると思います。
痛みがあると不快ですよね。
では、
「食べるときも痛い」
「動くときも痛い」
「寝ていても痛い」
そんな状態がずっと続いたらどうでしょうか?
とてもつらいと思います。
そのため緩和ケアでは、患者さんができるだけ痛みに悩まされずに過ごせるように、「痛みをやわらげること」をとても大切にしています。
では、どうやって痛みをやわらげるのでしょうか?
その方法の一つが、患者さんに合わせて痛み止めを調整することです。
今回は、がんの痛みに使われる「痛み止め」について、できるだけ簡単に解説していきます!
痛み止めにはどんな薬があるの?
痛み止めにはたくさんの種類がありますが、ここでは分かりやすく大きく2つに分けてみます。

① 非オピオイド
普段の痛みなどにもよく使われる痛み止め
② オピオイド
がんによる痛みなどに使われる、より強力な痛み止め
※痛み止めの分類にはいろいろな考え方がありますが、ここでは初めて学ぶ人にも分かりやすいように2つに分けて説明します。
「オピオイド」という言葉を初めて聞く人もいるかもしれません。
オピオイドには、モルヒネなどの「医療用麻薬」と呼ばれる薬も含まれます。
「麻薬」と聞くと、少し怖く感じるかもしれません。
でも、医療で使われるオピオイドは、がんによる痛みなどをやわらげるために、患者さんの痛みや体の状態を確認しながら量を調整して使う大切な薬です。
まずは、もっと身近な「非オピオイド」から見ていきましょう!
非オピオイドってなに?
「非オピオイド」と聞くと、
「なんだか難しそう……」
と思いますよね。
でも実は、皆さんの身近にある薬です。
例えば、
カロナール
ロキソニン
なども非オピオイドです。
熱が出たときや、頭痛、歯の痛み、腰痛などで使ったことがある人もいるのではないでしょうか。
そして非オピオイドは、さらに大きく2つに分けることができます。

では、
「同じ痛み止めなのに、何が違うの?」
と思いますよね。
その違いを理解するために、まずは人がどうやって「痛い!」と感じているのかを見てみましょう!
痛みを感じる仕組みを簡単に学ぼう!
例えば、転んで膝をぶつけたところを想像してみてください。
① 痛みの原因ができる
膝をぶつけると、その場所で「痛みを感じやすくする物質」が作られます。
その代表的なものが、
プロスタグランジン
という物質です。
名前は難しいので、今は
「痛みを強くする物質」
くらいに覚えておけば大丈夫です!

② 「痛い!」という電気信号が脳へ向かう
痛みを感じる場所が刺激されると、
「ここが痛いよ!」
という電気信号が作られます。
その電気信号が、神経という道を通って脳へ向かいます。
③ 脳に電気信号が届く
最後に電気信号が脳まで届きます。
すると脳が、
「痛い!」
と感じます。
つまり、とても簡単にすると、
痛みの原因ができる
↓
「痛い!」という電気信号が作られる
↓
電気信号が神経を通る
↓
脳に届く
↓
「痛い!」と感じる
という流れになっています。

そして実は、痛み止めはこの流れのいろいろな場所に働きかけることで、痛みをやわらげています。
ここが今回の大切なポイントです!
NSAIDsは「痛みの原因がある場所」で働く
まずは、ロキソニンなどのNSAIDsです。
先ほど、
痛みの原因ができる
↓
「痛みを強くする物質」が作られる
と説明しました。
NSAIDsは、この「痛みを強くする物質(プロスタグランジン)」が作られるのを抑える薬です。
つまり、
痛みを強くする物質を減らす
↓
痛みを感じる場所が刺激されにくくなる
↓
「痛い!」という電気信号が少なくなる
↓
痛みがやわらぐ
という仕組みです。

「それなら、プロスタグランジンを全部なくしてしまえばいいんじゃない?」
と思うかもしれません。
ところが、そう簡単ではありません。
プロスタグランジンには、痛みや炎症に関係する働きだけでなく、
胃を守る
腎臓の血の流れを保つ
など、私たちの体を守る大切な働きもあります。
NSAIDsを使うと、こうした働きも弱くなってしまうことがあります。
そのためNSAIDsを使うときには、胃への影響や腎臓の働きなどにも注意する必要があります。
患者さんによっては、胃を守る薬を一緒に使うこともあります。

アセトアミノフェンは「脳」で働く
次は、カロナールなどのアセトアミノフェンです。
アセトアミノフェンは、NSAIDsとは少し違います。
NSAIDsは、痛みの原因がある場所で「痛みを強くする物質」が作られるのを抑えていました。
それに対してアセトアミノフェンは、主に脳に働きかけて、痛みを感じにくくする薬です。
イメージとしては、
「痛い!」という情報が脳に届く
↓
アセトアミノフェンが脳に働く
↓
痛みを感じにくくなる
という感じです。

また、脳には体温を調節している場所があります。
アセトアミノフェンはここにも働きかけるため、痛みをやわらげるだけでなく、熱を下げる働きもあります。
そのため、カロナールなどのアセトアミノフェンは、
「痛みをやわらげる」+「熱を下げる」
という目的でよく使われています。
オピオイドってなに?
ここからは、オピオイドについて見ていきましょう!
オピオイドには、
- モルヒネ
- オキシコドン
- フェンタニル
などがあります。
これらは、がんによる痛みなどをやわらげるためによく使われる薬です。
オピオイドの中には「医療用麻薬」と呼ばれるものもあります。
「麻薬を使うほど悪い状態なの?」
「一度使ったらやめられなくなるんじゃないの?」
と心配になる患者さんやご家族もいます。
でも、オピオイドを使う=がんが末期だから、というわけではありません。
がんがどれくらい進んでいるかだけではなく、患者さんがどのくらい痛みを感じているのかなどを考えて使われます。
医療で使われるオピオイドは、患者さんの痛みや体の状態を確認しながら量を調整して使います。
がんによるつらい痛みをやわらげるための、とても大切な薬なのです。
オピオイドは「痛い!」が伝わるのを弱める
では、オピオイドはどのように痛みをやわらげるのでしょうか?
先ほどの流れを思い出してみましょう。

オピオイドは、「痛い!」という電気信号が脳へ伝わる途中や、脳で痛みを感じるところに働きかけます。
その結果、
「痛い!」という情報が伝わりにくくなる
↓
脳が感じる痛みが小さくなる
という仕組みです。

オピオイドを使ったら他の痛み止めはいらない?
ここが今回、とても大切なポイントです!
「オピオイドは強力な痛み止めだから、オピオイドを始めたらカロナールやロキソニンはいらないんじゃない?」
と思うかもしれません。
でも、必ずしもそうではありません。
なぜなら、それぞれの薬は痛みに働きかける場所が違うからです。
簡単に整理してみましょう。
- NSAIDs
→ 痛みの原因がある場所で、痛みを強くする物質を減らす - アセトアミノフェン
→ 主に脳に働きかけて、痛みを感じにくくする - オピオイド
→ 痛みの電気信号が伝わる途中や脳に働きかけて、痛みを感じにくくする

このように、それぞれ違う方法で痛みをやわらげています。
そのため、
「オピオイドを始めた=非オピオイドは必要ない」
とは限りません。
患者さんの痛みや体の状態によっては、オピオイドと非オピオイドを一緒に使うことで、より痛みをやわらげられることがあります。
もちろん、必要な薬は患者さんによって違います。
薬を減らしたり中止したりするときにも、
「痛みは強くなっていないかな?」
「生活に困るような痛みは出ていないかな?」
と患者さんの様子を確認しながら調整していくことが大切です。
今回のまとめ

今回は、がんの痛みに使われる痛み止めについて説明しました。
まず覚えてほしいのは、
痛みは「痛い!」という電気信号が脳に届くことで感じる
ということです。
そして、痛み止めにはそれぞれ違った働きがあります。
- NSAIDs
→ 痛みの原因がある場所で、痛みを強くする物質が作られるのを抑える - アセトアミノフェン
→ 主に脳に働きかけて、痛みを感じにくくする - オピオイド
→ 痛みの電気信号が伝わる途中や脳に働きかけて、痛みを感じにくくする
ここまで見てみると、
「どの痛み止めが一番強いのか?」
だけで考えるものではないことが分かると思います。
それぞれの薬で、痛みに働きかける場所が違うんですね。
だからこそ、患者さんの痛みや体の状態に合わせて、薬を組み合わせたり、量を調整したりすることが大切になります。
僕自身、緩和ケア病棟で働くようになって、
「痛みを取ることって、ただ痛くなくするだけじゃないんだな」
と感じるようになりました。
痛みがやわらぐことで、
ご飯を食べられる。
自分で動ける。
夜に眠れる。
家族と話せる。
好きなことをして過ごせる。
そんな、その人にとっての「いつもの時間」が戻ってくることがあります。

緩和ケアで大切なのは、病気そのものだけを見ることではなく、
「この人が少しでもその人らしく過ごすためには、どうすればいいんだろう?」
と考えることなのかもしれません。
痛み止めは、そのために使う大切な手段の一つです。
僕もまだまだ緩和ケアについて学んでいる途中ですが、実際に働く中で、
「これは知っておいてよかった!」
と思ったことを、これからも少しずつ分かりやすくお伝えしていこうと思います。
今回はここまで!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!












こんにちは、どんどんです!