知識ゼロから始める心電図 STEP⑤ 最初に覚えたい!基本波形5選

どんどん

こんにちは!

循環器病棟歴9年のどんどんです。

ここまでSTEP①〜④では、心臓の基本的なしくみや心電図で使う言葉、記録用紙の見方など、心電図を見る前に知っておきたい基礎について学んできました。

ここからはいよいよ、心電図波形を見ていきます!

心電図を勉強していると、

なんて言われることがあります。

たしかに、たくさんの心電図を見ることは大切です。

でも……

そもそも、どんな波形があるのか知らなければ、いくら見てもなかなか分かるようにはなりません。

なので、いきなりたくさんの心電図を見て覚えようとするのではなく、まずは、

「心電図にはどんな波形があるの?」

というところから知っていきましょう!

前回までのおさらいはこちら!

STEP①心臓の基本構造を知ろう!

STEP②心臓が動く仕組みを学ぼう!

STEP③心電図の基本ワードを学ぼう!

STEP④記録用紙の見方を学ぼう!

目次

  1. 心電図初心者がまず覚えたい波形は?
  2. 洞調律(SR)って何?
  3. 心房細動(AF)って何?
  4. 心房粗動(AFL)って何?
  5. 心房期外収縮(PAC)って何?
  6. 心室期外収縮(PVC)って何?
  7. PACとPVCは「QRS幅」に注目!
  8. 今回のまとめ

心電図初心者がまず覚えたい波形は?

心電図にはたくさんの波形があります。

とはいっても、最初からすべての波形を覚える必要はありません。

初心者が現場でよく見たり、勉強会や問題などでよく聞かれたりする波形は、ある程度決まっていて、

大体20種類くらいになります。

その中でも、特によく出てくるのが1から13番までの波形です。

「13種類もあるの!?」

と思うかもしれませんが、一気に全部覚えなくても大丈夫です。

今回はその中でも、現場でよく見る

洞調律・心房細動・心房粗動・心房期外収縮・心室期外収縮

この5種類から見ていきましょう!

洞調律(SR)って何?

洞調律とは、

心臓の司令塔である洞結節さんが一定のリズムで指示を出し、心房・房室結節・心室もその指示どおりに動いている状態です。

「サイナス」と呼ばれたり、「SR」と書かれたりします。

いわば、

「洞結節さんの指示どおり、みんながきちんと働いている状態」

ですね。

心房ちゃんたちが問題なく動いているので、心電図にはP波が見られます。

そして、洞結節さんからの指示を受けて、心房→房室結節→心室と順番に動いていきます。

PQ間隔も長くなりすぎず、記録用紙の小さいマスで5マス以内になります。

さらに、洞結節さんが一定のリズムで指示を出しているので、RR間隔もほぼ一定になります。

心房細動(AF)って何?

心房細動とは、

心房が細かく震えてしまい、うまく動けない状態です。

「エーエフ」と呼ばれたり、「AF」と書かれたりします。

正常な心臓では、司令塔である洞結節さんから、

「動いてー!」

と指示が出ると、心房で働くスタッフたち(心房ちゃんたち)は、その指示に合わせてみんなで一緒に動きます。

ところが心房細動になると、心房の中は大パニック!

心房ちゃんたちがあちこちで混乱してしまい、洞結節さんの指示どおりにみんなで一緒に動くことができません。

その結果、心房はしっかり動くことができず、細かくブルブルと震えるような状態になってしまいます。

心房ちゃんたちがみんなで一緒に動けないので、心電図ではP波が見られなくなります。

さらに、心室へ届く指示のタイミングもバラバラ。

そのため、心室が動くタイミングもバラバラになり、RR間隔もバラバラになります。

また、波形によっては細かく揺れるような線が見えることがあります。

これを「f波(細動波)」と呼びます。

ただし、すべての心房細動でf波が見えるわけではありません。

f波がはっきり見えないこともあるので、「f波がないから心房細動ではない」と判断しないようにしましょう。

どんどん

まずは、

「P波がない+RR間隔がバラバラ」

この2つに注目してみましょう!

心房粗動(AFL)って何?

心房粗動とは、心房の中を電気の指示がぐるぐると回り続けてしまう状態です。

「フラッター」と呼ばれたり、「AFL」と書かれたりします。

イメージしてほしいのは、心房の中にできた回転式のベルトコンベアです。

心房粗動では、洞結節さんから出された指示が、

心房の中にできたベルトコンベアに乗ってしまい、

ぐるぐる、ぐるぐる……

と、ものすごい速さで心房の中を回り続けてしまいます。

その結果、いつものようなP波は見られなくなり、代わりにノコギリの刃がズラッと並んだような波形が現れます。

これをF波(粗動波)と呼びます。

そして、もうひとつ心房粗動を見つけるヒントがあります。

心房粗動では、心拍数が60・75・100・150回/分あたりになります。

もちろん、いつもこの数字ぴったりになるわけではありません。

たとえば、

「心拍数が140〜160回/分前後だな」
「60〜80回/分くらいだな」

といった感じで、多少前後はします。

そのため、このあたりの心拍数でノコギリのような波形が見えたら、

「もしかして心房粗動?」

と考えるヒントになります。

なぜこのあたりの心拍数になりやすいのかは、今の段階では覚えなくても大丈夫です。

どんどん

まずは、ノコギリのようなF波を見つけることから始めましょう!

心房期外収縮(PAC)って何?

心房期外収縮とは、洞結節さんからのいつもの指示を待たずに、心房ちゃんが予定より早く動いてしまう状態です。

「PAC」と書かれたりします。

簡単にいうと、

「心房ちゃんがフライングして動いちゃった!」

という状態です。

心房ちゃんが予定より早く動くと、それにつられて心室も予定より早く動きます。

そのため心電図を見ると、一定のリズムで並んでいたQRS波の途中に、

「あれ? 1個だけ早く出てきた!」

というQRS波が現れます。

このときに出てくるQRS波は幅の狭いQRS波です。

QRS幅が狭いというのは、記録用紙の小さいマスで3マス未満が目安になります。

また、いつものQRS波とまったく同じに見えるとは限りません。

いつものQRS波より少し低かったり、高かったり、形が少し違って見えたりすることもあります。

そして心房期外収縮は心房ちゃんがフライングしているので、QRS波の前にはP波があります。

ただし、このP波も予定より早く出てくるため、前のT波などに隠れて見えにくいこともあります。

どんどん

まずは、

「いつものリズムより早く、幅の狭いQRS波が出てきた!」

ここに注目してみましょう!

心室期外収縮(PVC)って何?

心室期外収縮とは、洞結節さんからのいつもの指示を待たずに、心室くんが予定より早く動いてしまう状態です。

「PVC」と書かれたりします。

PACが、

「心房ちゃんがフライングして動いちゃった!」

なら、PVCは、

「心室くんがフライングして動いちゃった!」

というイメージです。

心室くんが予定より早く動くので、心電図を見ると、一定のリズムで並んでいたQRS波の途中に、

「あれ? 1個だけ早く出てきた!」

というQRS波が現れます。

そしてPVCでは、このQRS波の幅が広く、いつもとは違った形をしているのが大きな特徴です。

QRS幅が広いというのは、記録用紙の小さいマスで3マス以上が目安になります。

いつものQRS波と比べてみると、大きかったり、向きが違ったり、少し変わった形をしていることもあります。

また、PVCでは心室くんだけがフライングして動いています。

このとき、心房ちゃんは一緒に動いていません。

心房ちゃんが動いたときに現れるのがP波でしたよね。

つまり、心室くんがフライングしたときは心房ちゃんは動いていないため、フライングして出てきたQRS波の直前にはP波がありません。

これもPVCを見つける大切なポイントです。

どんどん

まずは、

「いつものリズムより早く、太くて変わった形のQRS波が出てきた!」

ここに注目してみましょう!

PACとPVCは「QRS幅」に注目!

ここまで読んで、

「PACとPVCって似てない?」

と思った方もいるかもしれません。

そうなんです。

どちらもいつものリズムより早くQRS波が出てくるので、最初は見分けにくい波形です。

そんなときは、まずQRS幅に注目してみましょう。

  • PAC → 心房ちゃんがフライング! → 早くて細いQRS波
  • PVC → 心室くんがフライング! → 早くて太いQRS波

まずはこの違いを覚えておけばOKです!

今回のまとめ

今回は、心電図初心者がまず覚えておきたい5つの基本波形について見てきました。

最後に、それぞれの波形で「まずどこを見るのか」をまとめてみましょう。


どんどん

おつかれ様でした!

最初から細かい特徴をすべて覚える必要はありません。

まずは、

「この波形を見たら、ここを見る!」

というポイントを1つずつ覚えていけばOKです!

今回の5つの基本波形を覚えたら、いよいよ次のステップへ。

次に学ぶのは、急変のときにも遭遇することがある、見逃したくない波形たちです。

突然モニターのアラームが鳴ったとき、

「この波形、もしかして……!」

と気づけることが、患者さんの状態を確認する最初の一歩になりますよ。


次に読むならこちら!

STEP⑥危険な波形の特徴を学ぼう!

気になるSTEPから見てみよう!

STEP①心臓の基本構造を知ろう!

STEP②心臓が動く仕組みを学ぼう!

STEP③心電図の基本ワードを学ぼう!

STEP④記録用紙の見方を学ぼう!

STEP⑦ブロック波形の特徴を学ぼう!

STEP⑧洞不全の特徴を学ぼう!

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管理人どんどん
🎍明けましておめでとうございます🎍 昨年はたくさんの方にブログを読んでいただき、本当にありがとうございました! 昨年12月からは緩和ケア病棟へ異動となりましたが、 これまで9年間、循環器の現場で学んだことを、 このブログにすべて残していきたいと思っています。 ひと通り記事が出そろったので、 今年はより見やすく・詳しく修正していく予定です。 さらに、心電図検定3級に向けた記事も書いていきます! 2026年も「心電図がちょっと楽しくなる」ブログを目指して更新していきますので、 本年もどうぞよろしくお願いいたします✨ どんどん