ここまでSTEP①〜④では、心臓の基本的なしくみや心電図で使う言葉、記録用紙の見方など、心電図を見る前に知っておきたい基礎について学んできました。
ここからはいよいよ、心電図波形を見ていきます!
心電図を勉強していると、

なんて言われることがあります。
たしかに、たくさんの心電図を見ることは大切です。
でも……
そもそも、どんな波形があるのか知らなければ、いくら見てもなかなか分かるようにはなりません。
なので、いきなりたくさんの心電図を見て覚えようとするのではなく、まずは、
「心電図にはどんな波形があるの?」
というところから知っていきましょう!
目次
- 心電図初心者がまず覚えたい波形は?
- 洞調律(SR)って何?
- 心房細動(AF)って何?
- 心房粗動(AFL)って何?
- 心房期外収縮(PAC)って何?
- 心室期外収縮(PVC)って何?
- PACとPVCは「QRS幅」に注目!
- 今回のまとめ
心電図初心者がまず覚えたい波形は?
心電図にはたくさんの波形があります。
とはいっても、最初からすべての波形を覚える必要はありません。
初心者が現場でよく見たり、勉強会や問題などでよく聞かれたりする波形は、ある程度決まっていて、
大体20種類くらいになります。

その中でも、特によく出てくるのが1から13番までの波形です。
「13種類もあるの!?」
と思うかもしれませんが、一気に全部覚えなくても大丈夫です。
今回はその中でも、現場でよく見る
洞調律・心房細動・心房粗動・心房期外収縮・心室期外収縮
この5種類から見ていきましょう!
洞調律(SR)って何?
洞調律とは、
心臓の司令塔である洞結節さんが一定のリズムで指示を出し、心房・房室結節・心室もその指示どおりに動いている状態です。
「サイナス」と呼ばれたり、「SR」と書かれたりします。
いわば、
「洞結節さんの指示どおり、みんながきちんと働いている状態」
ですね。

心房ちゃんたちが問題なく動いているので、心電図にはP波が見られます。
そして、洞結節さんからの指示を受けて、心房→房室結節→心室と順番に動いていきます。
PQ間隔も長くなりすぎず、記録用紙の小さいマスで5マス以内になります。
さらに、洞結節さんが一定のリズムで指示を出しているので、RR間隔もほぼ一定になります。

心房細動(AF)って何?
心房細動とは、
心房が細かく震えてしまい、うまく動けない状態です。
「エーエフ」と呼ばれたり、「AF」と書かれたりします。
正常な心臓では、司令塔である洞結節さんから、
「動いてー!」
と指示が出ると、心房で働くスタッフたち(心房ちゃんたち)は、その指示に合わせてみんなで一緒に動きます。

ところが心房細動になると、心房の中は大パニック!
心房ちゃんたちがあちこちで混乱してしまい、洞結節さんの指示どおりにみんなで一緒に動くことができません。
その結果、心房はしっかり動くことができず、細かくブルブルと震えるような状態になってしまいます。

心房ちゃんたちがみんなで一緒に動けないので、心電図ではP波が見られなくなります。
さらに、心室へ届く指示のタイミングもバラバラ。
そのため、心室が動くタイミングもバラバラになり、RR間隔もバラバラになります。
また、波形によっては細かく揺れるような線が見えることがあります。
これを「f波(細動波)」と呼びます。
ただし、すべての心房細動でf波が見えるわけではありません。
f波がはっきり見えないこともあるので、「f波がないから心房細動ではない」と判断しないようにしましょう。

まずは、
「P波がない+RR間隔がバラバラ」
この2つに注目してみましょう!

心房粗動(AFL)って何?
心房粗動とは、心房の中を電気の指示がぐるぐると回り続けてしまう状態です。
「フラッター」と呼ばれたり、「AFL」と書かれたりします。
イメージしてほしいのは、心房の中にできた回転式のベルトコンベアです。
心房粗動では、洞結節さんから出された指示が、
心房の中にできたベルトコンベアに乗ってしまい、
ぐるぐる、ぐるぐる……
と、ものすごい速さで心房の中を回り続けてしまいます。

その結果、いつものようなP波は見られなくなり、代わりにノコギリの刃がズラッと並んだような波形が現れます。
これをF波(粗動波)と呼びます。

そして、もうひとつ心房粗動を見つけるヒントがあります。
心房粗動では、心拍数が60・75・100・150回/分あたりになります。
もちろん、いつもこの数字ぴったりになるわけではありません。
たとえば、
「心拍数が140〜160回/分前後だな」
「60〜80回/分くらいだな」
といった感じで、多少前後はします。
そのため、このあたりの心拍数でノコギリのような波形が見えたら、
「もしかして心房粗動?」
と考えるヒントになります。
なぜこのあたりの心拍数になりやすいのかは、今の段階では覚えなくても大丈夫です。

まずは、ノコギリのようなF波を見つけることから始めましょう!

心房期外収縮(PAC)って何?
心房期外収縮とは、洞結節さんからのいつもの指示を待たずに、心房ちゃんが予定より早く動いてしまう状態です。
「PAC」と書かれたりします。
簡単にいうと、
「心房ちゃんがフライングして動いちゃった!」
という状態です。

心房ちゃんが予定より早く動くと、それにつられて心室も予定より早く動きます。
そのため心電図を見ると、一定のリズムで並んでいたQRS波の途中に、
「あれ? 1個だけ早く出てきた!」
というQRS波が現れます。

このときに出てくるQRS波は幅の狭いQRS波です。
QRS幅が狭いというのは、記録用紙の小さいマスで3マス未満が目安になります。
また、いつものQRS波とまったく同じに見えるとは限りません。
いつものQRS波より少し低かったり、高かったり、形が少し違って見えたりすることもあります。
そして心房期外収縮は心房ちゃんがフライングしているので、QRS波の前にはP波があります。
ただし、このP波も予定より早く出てくるため、前のT波などに隠れて見えにくいこともあります。

まずは、
「いつものリズムより早く、幅の狭いQRS波が出てきた!」
ここに注目してみましょう!

心室期外収縮(PVC)って何?
心室期外収縮とは、洞結節さんからのいつもの指示を待たずに、心室くんが予定より早く動いてしまう状態です。
「PVC」と書かれたりします。
PACが、
「心房ちゃんがフライングして動いちゃった!」
なら、PVCは、
「心室くんがフライングして動いちゃった!」
というイメージです。

心室くんが予定より早く動くので、心電図を見ると、一定のリズムで並んでいたQRS波の途中に、
「あれ? 1個だけ早く出てきた!」
というQRS波が現れます。

そしてPVCでは、このQRS波の幅が広く、いつもとは違った形をしているのが大きな特徴です。
QRS幅が広いというのは、記録用紙の小さいマスで3マス以上が目安になります。
いつものQRS波と比べてみると、大きかったり、向きが違ったり、少し変わった形をしていることもあります。
また、PVCでは心室くんだけがフライングして動いています。
このとき、心房ちゃんは一緒に動いていません。
心房ちゃんが動いたときに現れるのがP波でしたよね。
つまり、心室くんがフライングしたときは心房ちゃんは動いていないため、フライングして出てきたQRS波の直前にはP波がありません。
これもPVCを見つける大切なポイントです。

まずは、
「いつものリズムより早く、太くて変わった形のQRS波が出てきた!」
ここに注目してみましょう!

PACとPVCは「QRS幅」に注目!
ここまで読んで、
「PACとPVCって似てない?」
と思った方もいるかもしれません。
そうなんです。
どちらもいつものリズムより早くQRS波が出てくるので、最初は見分けにくい波形です。
そんなときは、まずQRS幅に注目してみましょう。
- PAC → 心房ちゃんがフライング! → 早くて細いQRS波
- PVC → 心室くんがフライング! → 早くて太いQRS波
まずはこの違いを覚えておけばOKです!

今回のまとめ
今回は、心電図初心者がまず覚えておきたい5つの基本波形について見てきました。
最後に、それぞれの波形で「まずどこを見るのか」をまとめてみましょう。


おつかれ様でした!
最初から細かい特徴をすべて覚える必要はありません。
まずは、
「この波形を見たら、ここを見る!」
というポイントを1つずつ覚えていけばOKです!
今回の5つの基本波形を覚えたら、いよいよ次のステップへ。
次に学ぶのは、急変のときにも遭遇することがある、見逃したくない波形たちです。
突然モニターのアラームが鳴ったとき、
「この波形、もしかして……!」
と気づけることが、患者さんの状態を確認する最初の一歩になりますよ。

STEP⑥危険な波形の特徴を学ぼう!

























こんにちは!
循環器病棟歴9年のどんどんです。