心電図にはたくさんの種類がありますが、その中には、
「見つけたら要注意!」
という、とても危険な波形があります。
それが今回紹介する、
心室頻拍(VT)・心室細動(VF)・心静止
の3つです。
どれも患者さんの命に関わる可能性があり、急変時にも出会うことのある重要な波形です。
名前だけ見ると、

うわっ、難しそう……
と思いますよね。
でも大丈夫です。
実はこの3つ、ポイントを絞って見てみると、それぞれかなり特徴があります。
最初から完璧に判読する必要はありません。
まずは心電図を見たときに、
「あれ?これヤバいやつじゃない?」
と気づけるようになればOK!
今回は、そんな絶対に見逃したくない危険な波形3選を、できるだけ簡単に紹介していきます!
心室頻拍(VT)とは?
前回登場した心室期外収縮(PVC)。
これは、心室くんが洞結節さんからの指示を待てずに、
「先に動いちゃえ!」
とフライングしてしまう状態でした。

でも、もし心室くんが1回だけではなく、
「ドン!ドン!ドン!」
と連続して動いてしまったら……。
これが今回紹介する心室頻拍(VT)です。
VTは「ブイティー」と読み、PVCが3回以上連続した状態をいいます。
では、なぜこんなことが起こるのでしょうか?
ここで思い出してほしいのが、以前登場した心房粗動(AFL)です。
心房粗動では、心房の中に「回転式のベルトコンベア」ができて、電気がグルグル回り続けていましたね。

実は心室頻拍も、これと似たようなことが起こっているんです。
ただし、今回ベルトコンベアができる場所は「心室」です。
心室の中を電気がグルグル、グルグル……。
すると、そのたびに、
「心室くん、動け!」
という指示が繰り返されます。

心室くんも、
「えっ!? また!? 休む暇ないんだけど!」
という状態です。
こうして心室がものすごい速さで連続して動いてしまうのが、心室頻拍です。
短時間で自然に止まるVTもありますが、止まらずに続いてしまうこともあります。
そして、その先にはさらに危険な心室細動(VF)が待っていることも。

心室期外収縮(PVC)が1回なら「心室くんのフライング」。
それが連続したら、
「これは心室頻拍(VT)かも!」
と考えられるようにしておきましょう!
心室頻拍の特徴
では、VTの心電図を見ていきましょう!
ポイントはいくつかありますが、まず覚えてほしいのはこれです。
幅の広いQRS波が3回以上連続する!
これがVTの大きな特徴です。
QRS幅は、小さいマスで3マス以上が目安になります。

さらにQRS波の前を見てみると、いつものP波がありません。
なぜなら、今回は心房からではなく、心室から興奮が始まっているからです。
そしてRR間隔はというと……
一定のこともあれば、バラバラのこともあります。
なので、RR間隔だけでVTを判断しようとするのはNG!
また、連続するQRS波は、同じような高さや幅、形が並ぶことが多いです。
心拍数は100〜250回/分程度とかなり速く、150〜200回/分を超えることが多いです。

まずは、
「幅広QRSが3連発以上=VTを疑う!」
ここから覚えていきましょう!

心室細動(VF)ってなに?
心室細動(VF)とは、心室が細かくブルブルと震えてしまい、血液を送り出せなくなった状態です。
「ブイエフ」と呼ばれたり、「VF」と書かれたりします。
そしてVFは、数ある心電図波形の中でも最も危険な波形のひとつです。

「でも、心房細動(AF)もブルブル震えていたよね?」
そう思った人もいるかもしれません。
ここで、以前お話しした心房細動(AF)を思い出してみましょう。
心房細動では、心房が細かくブルブルと震えてしまい、心房から心室へ血液を送り出す働きがうまくできなくなっていました。
それでも、心室がしっかり動いていれば、全身へ血液を送り出すことはできます。

では、その心室がブルブルと震えてしまったらどうでしょう?
心室は、全身へ血液を送り出す大切なポンプです。
その心室がブルブルと震えるだけで、「ギュッ!」と収縮できなくなると、全身へ血液を送り出せなくなってしまいます。

つまり、
心房細動(AF)
→ 心房がブルブル。でも心室は動ける!
心室細動(VF)
→ 心室がブルブル。全身へ血液を送り出せない!
という違いがあります。
そのためVFは、心停止として扱われる、一刻を争う非常に危険な状態なのです。
心室細動(VF)の特徴
では、実際の心電図ではどんな波形になるのでしょうか?
VFの波形を見てみると……
とにかくバラバラです!

心室の電気活動が無秩序になっているため、P波・QRS波・T波の区別がつきません。
「これがP波かな?」
「ここがQRS波かな?」
と探しても、どれがどれなのかわからない状態です。
さらに、波形の高さ・幅・リズムもバラバラになります。
つまり、
「何の波かわからないくらい、波形がバラバラ!」
これがVFの大きな特徴です。
そして、ここでもうひとつ大切なポイントがあります。
VFでは心室が細かく震えているだけで、ポンプとして有効に収縮できません。
そのため全身へ血液を送り出すことができず、心停止の状態となります。
VFを見つけたら、ゆっくり波形を分析している場合ではありません。
すぐに対応が必要な、非常に危険な波形です。


いろいろ特徴がありますが、まずは、
「何の波かわからないくらいバラバラ=VFを疑う!」
と覚えておきましょう!
心静止ってなに?
ここまで、心室頻拍(VT)、心室細動(VF)と危険な波形を見てきました。
最後に紹介するのが、心静止です。
心静止とは、心臓の機能が停止して、全身に血液を送り出せなくなった状態です。

心臓がポンプとして働けないため、非常に危険な状態になります。
心静止のことを現場では「エーシス(Asystole)」と呼んだり、「アレスト(Arrest)」と呼ぶこともあります。
では、心電図ではどのように見えるのでしょうか?
心静止の特徴

心静止の一番大きな特徴は、
心電図の波形がほぼフラット(平らになる)になることです。
いつものようなQRS波はみられず、ほとんど一直線のような波形になります。
心静止も心室頻拍(VT)、心室細動(VF)と同じく、見つけたらすぐに対応が必要な心停止波形です。


まずは、
「波形がほぼフラット=心静止!」
ここをしっかり覚えておきましょう!
今回のまとめ
今回登場した危険な波形3選を、最後にもう一度おさらいしてみましょう!


おつかれ様でした!
心電図を勉強するうえで、今回の3つはぜひ知っておきたい波形です。
最初から細かいところまで完璧に覚える必要はありません。
まずは、
「なんかこの波形、ヤバそう!」
と気づけるだけでも、大きな一歩です。
さて、次回注目するのは、心房と心室をつなぐ房室結節さん。

心房から届いた指示を、うまく心室へ伝えられなくなると、心電図にはどんな変化が現れるのでしょうか?
次回は、そんな「ブロック波形」について見ていきます。
次回も一緒に見ていきましょう!

STEP⑦ブロック波形の特徴を学ぼう!


























こんにちは!
循環器病棟歴9年のどんどんです。